危機感持つ教員ら2000人がオンラインイベントに参加
私は、女子ラクロスU19日本代表監督をしていたこともあって、海外の友人がたくさんいます。海外の学校ではどうしているのかと情報を集めているときに、ニューヨーク育英学園ではすでにオンラインで授業をしていると知り驚きました。香港やシンガポールの日本人学校もそうでした。日本では、実践研究協力校として一足先にオンライン教育に取り組んでいた宝仙学園小学校(東京都中野区)、新渡戸文化小学校(同)、東京都小金井市立前原小学校などもありました。そこで、それぞれの実践を、危機感を持っている現場の教員に共有していただこうと思いついたのです。
企画した1回目のオンラインイベントには200人くらい集まりました。イベントは4回開催し、最終回の5月には1933人が申し込みました。4回で延べ2700人くらいが参加しました。
取材記事などから、私がオンラインやICTに詳しいとよく思われるのですが、実は全く詳しくはないのです。海外や日本の先進的な取り組みを知って、参考にしたいと思い、困っている教師の代表として皆さんに広くお伝えしただけなんです。
それぞれの立場でできることを
そのイベントに参加してくださった教員の皆さんには「まず校長先生に提案してみましょう」、校長先生には「教育委員会に提案しましょう」、そして教育委員会の人には「教育長にぜひ伝えてください」とお伝えしました。議員の方には、「メディアにぜひ伝えてください」、メディアの方には「世論にしていきましょう」とお伝えしました。オンラインで子どもたちをつなぐことを、それぞれの立場であなたにしかできないことをやっていきましょうと伝えました。
こうしてお話ししている私も一教員です。自分一人では新しい取り組みはできません。もちろん校長にはその都度相談し、提案し、できるところからやっていきました。
イベントで学んだオンラインのノウハウを生かして実践しようと、4月27日には校長に文書でZoom活用の提案をしました。デバイスがない家庭はどうするか、学校のパソコンで可能なのか、Zoomを使うことで個人情報は漏れないのかなど検討事項はたくさんありましたが、既にZoomを使って職員会議をしていたこともありましたし、コロナ禍前の1月から2カ月間、国のGIGAスクール構想の先進的事例の検討のためにiPadを私のクラスの授業で使用していたことも大きかったと思います。5月8日には、学年でオンライン検証授業の許可が下りました。