前述のMMT理論が正しければ、一生ベア(弱気)相場は来ないかもしれない。永遠の繁栄というものがあるならば、それはとても素晴らしいだろう。
しかし私は懐疑的だ。ITバブルの末期、1999年にはナスダックはすでに数年にわたり上昇していたのに、たったの6カ月でさらに倍になったのだ。いま、私が年末までに日経平均株価が2倍に跳ね上がると言えば、誰も信じないだろう。そうなるとは予想していないが、可能性はあると考えている。
金や銀などの実物資産の価格は上がる
――この危機が起きている間、何かに投資をしましたか。
まず金と銀を買った。政府に対して人々が不信感を抱くときに、金や銀などの実物資産の価格は上がる。私は2019年の夏から金を買い始め、それ以降も連続して買い続けている。私はもっと多くの人が金や銀に投資すべきだと思っている。多くの人が加入している医療保険や終身保険は、できれば一生使いたくないものだが、入っていると安心できるものだ。貴金属もポートフォリオの中で、そのような位置付けにあるべきだ。もちろん、タイミングが合えば大きな利益を生み出してくれる。私は日本の田中貴金属で現物を買うのが好きだが、金や銀などはETF(上場投資信託)で購入する方法もある。
また観光と航空セクターはコロナで大打撃を受けて暴落しているので、割安に買うチャンスと考えている。そんな意味でシンガポール航空の株を買った。空港の大部分が閉鎖されたことも投資のチャンスだと思うので、空港のサービス会社の株を買ってもいい。数年後に私の考えが正解かどうかわかるだろう。
さらにロシアの運送会社の株を買い増し、中国のワイン会社の株も購入した。航空会社と同じく、誰もレストランやホテルに行っていなかったのでワイン・酒や運送会社の株も暴落したため割安だと思う。ポイントはどの会社が回復して大きく上昇するかを予測することだ。