コロナショック後、市場は大混乱している。先が見えにくい状況の中で、私たちは今後、お金や投資についてどんなスタンスを取るべきか。シンガポール在住の世界三大投資家の1人に聞いた。

感染症により全世界が閉ざされた

――2020年のコロナショックはリーマンショックなど過去の経済危機を超え、戦後最大級になるといわれています。なぜそうなるのか、現状を踏まえてお聞かせください。

人類は歴史的に初めて、ほぼすべての経済を閉じてしまった。リーマンショックの際は、米国投資銀行のリーマン・ブラザーズが破綻、その影響で倒産の連鎖が起き、金融危機を引き起こした。しかし、その時とはわけが違う。なぜなら感染症により全世界が閉ざされたからだ。

コロナウイルス危機時の経済不況の概念
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歴史をさかのぼると、人類は数多くの感染症と闘ってきた。今世紀だけでもSARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザウイルスなどが流行し、そのたびに経済的なダメージはあったが、世界的にマクドナルドや空港までが閉ざされたことは1度もなかった。

新型コロナウイルスに対する各国の対応は間違っていた。病気よりも治療薬が体に害を及ぼすことがあるが、経済において今回がまさにその例だ。都市封鎖のせいで、多くの人々が経済的に破綻し、店やレストランの多くは2度と開くことはないだろう。だからこそ新型コロナの世界経済に対する影響は長期に及ぶことが予測される。