デリケートゾーンのお手入れを怠らない男子たち

松岡さんが言う「細かな部位」とは、例えばフェイスシェーバーで言えば「ニキビ」の箇所、ボディトリマーで言えば「デリケートゾーン」のこと。

すなわち、ニキビの近くも、I字なら避けて剃ることができる。またデリケートゾーンも、ボディトリマーに「肌ガードアタッチメント」を付ければ、刃が直接肌に触れることなく、なでるようにスッと剃れる、というのですが……。

そもそも、男子が「デリケートゾーン」のお手入れをするとの事実に、驚く方も多いのではないでしょうか。

実は「Vライン」、つまりデリケートゾーンの両サイドについては、数年前から女子の間で、剃るどころか「脱毛」がブームになっています。

ある調査でも、20代女子でVライン脱毛の施術を行ったことがある割合は、なんと約7割(68.3%)(19年 ホットペッパービューティーアカデミー調べ)。

調査対象を、「過去1年以内に美容サロンを利用したことがある人」に限っているので、その分のバイアスはかかっていますが、私が取材しても、いまやVラインのお手入れは、女子の間で「当たり前の身だしなみ」なのだと実感します。

なぜ、水着にならない冬でも気にするのか

その波が、すでに男子にも及んでいると言えるでしょう。

私が草食系男子の本を最初に書いたのが、08年秋。当時取材した若者(おもに現30代後半)ぐらいから、ムダ毛や日焼けを気にする男子が増え、「身だしなみとして、すね毛を剃りたい」や、「能天気に日焼けして、後で後悔したくない」といった声は、多くあがっていました。

とはいえ、「デリケートゾーン」については、水着姿を披露する夏場に気になることはあっても、普段のお手入れでまで気にする男子は少なかったはず。

一体なぜ、水着にならない秋冬まで、そんな箇所をお手入れするのでしょうか。

先の米田さんいわく、「Z世代の若者たちは、『他人の目を気にして』というより、自分のなかに『こうなりたい』という理想の姿があり、そこに近づきたいからと、ヒゲやボディヘアを手入れするイメージ」とのこと。

ただし、ボディについて「Z世代の男子が求めるのは、ツルツルの肌ではない」と米田さん。あくまでも2~3ミリ毛が残る「自然な仕上がり」の肌を理想とする男子が多く、だからこそ先のアタッチメントを同梱し、ほどよい長さの毛を残せるようにしたといいます。

そういえば昨今は、メンズビューティの世界でも、「手入れしてます」「メイクしてます」と感じさせない、自然な「ステルスメイク」が人気です。