7.心の中で衝動をコントロールする
(20巻第170話「不動の柱」より) 悲鳴嶼行冥
岩柱の行冥が、上弦の壱である黒死牟こと継国巌勝と戦っていたとき、鬼になることのメリットを説かれた行冥は、人であることに誇りを持ち、命を懸けて鬼殺隊にいることを侮辱するなとばかりに、正論を放った1コマです。
私たちの生活の中で起こる理不尽なことの1つに、「自分の意見は正しい」と押し付けて来られるものがあります。それぞれの立場、状況によって異なる見解があって良いところ、一方の見方のみが正しく、従わないことがおかしいと思わされる状況です。
面と向かって反論すれば喧嘩になりますが、この言葉を心の中で唱えると落ち着いてきます。言いたいことを発話しなくても言語化しているからです。そして相手と距離を取ることができるので、クールに対応することができるようになります。
同じように、鱗滝左近次の「判断が遅い」(1巻第3話「必ず戻る夜明けまでには」)も、心の中でつぶやくと、自分や人に喝が入り、コントロールができるようになります。
レジリエンス(再起力)を構成する要素がシーンに込められたセリフを紹介しました。心を震わせ感動する言葉やシーンは他にも沢山あります。『「鬼滅の刃」流 強い自分のつくり方』(アスコム)にも多く示していますので参考にしてみてください。
セリフはシーンを知ることでその意味がより一層深く理解できますので、ぜひ原作を手に取っていただくことをお勧めします。
1970年、東京生まれ。東京家政大学大学院家政学研究科人間生活学専攻修了。博士(学術)。心理・キャリアカウンセラー。専門は教育心理学、キャリア心理学。ライフキャリアとマンガ に関する研究を行う。CDA、産業カウンセラー。キャリアデザイン、チームビルディング、メンタルヘルスなどの専門家。自治体や企業等で研修講師を務める。キャリアカウンセラー養成講座を長年担当。中学生・高校生・大学生・社会人にキャリア教育を展開。大学では、心理学・教育心理学・行動分析学・キャリアデザインなどを担当。マンガを使った講義・研修・セミナーが人気。