諸外国の男性育休制度と取得状況

では、諸外国の制度や取得状況はどうなっているのでしょうか。日本の育休取得可能期間は、原則として子どもが満1歳になるまでとなっており、保育園に入園できないなどやむをえない事情に限り、半年ごと、最長2歳まで延長が可能です。フランス、ノルウェーは満3歳まで、スウェーデンでは12歳までとなっています。また、日本のように夫婦同時に育休が取れるのは珍しく、諸外国では基本的に別々に取得する制度となっています。

なお、基本的な考え方として、休む権利と給付金がもらえる権利は別となっており、アメリカは国の制度として12週間休む権利はあるものの、国からの給付金は一切ありません。一方、州や会社によっては給付金制度が整っていることから、市民団体が国としての制度拡充を請願する運動を行なっています。

出生率アップに成功したフランスでは、「父親になるための14日間の休暇」(=通称「男の産休」と呼ばれる)を実施。育休給付金は給与の100%給付であり、取得率もほぼ100%と言われています。しかし、14日間の産休を取得した後の男性育休に関しては取得率2%と、高くはありません。

このように、各国において制度の中身が大きく異なるため、育休取得率のみの比較は最適な比較ではありませんが、独立行政法人労働政策研究・研修機構が2014年に作成した調査などをもとに比較してみます。

育休取得率の高い二カ国との差は歴然

ノルウェーではかつて育休取得率が4%と低かったものの、1993年にパパクオータ制(父親割当制度)を導入し、現在の取得率は90%です。給付金に関しては、期間に応じて給付率が変わる制度を導入しています。

スウェーデンでは夫婦で合計480日(約1年4カ月)の育休取得が可能ですが、それぞれが90日以上取得しなければなりません。給付金は、産休10日間が100%給付、390日までは80%給付となっています。現在は約88.3%の男性が取得しています。

この二カ国では、男性の育休取得率が日本の女性の取得率を上回っていることに愕然とします。北欧では、たとえ大臣であっても男性が育休を取得するのが一般的で、小泉進次郎議員が環境大臣就任中に育休取得を示唆しただけで、賛否が巻き起こった日本との違いは非常に大きいと言えるでしょう。