在宅勤務や休校が広がり、平日も家族全員が家にいるという家庭が増えています。子どもを預けることもままならない分、育児分担がより気になっている人も多いのでは。男性学を研究する田中俊之先生は「今こそ夫婦で話し合いを」と言います。
リビングで話し合う若いカップル
※写真はイメージです(写真=iStock.com/itakayuki)

専業主婦ありきの働き方が元凶に

2000年代以降、フルタイム共働き世帯の増加に伴って「ワンオペ育児」に悩む女性も増えています。育児にあたって夫の協力が得られず、1人で奮闘する女性は以前からたくさんいました。特に高度経済成長期、女性の多くが専業主婦だった時代には、むしろ一般的な家庭像として捉えられていたぐらいです。

それがなぜ今、問題になっているのでしょうか。高度経済成長期と今で最も大きく違うのは「女性の働き方」です。男性の働き方は以前と変わらず、多くの企業で、家に専業主婦がいることを前提とした長時間労働が行われています。

しかし女性は、従来あったワンオペ育児と同時に、フルタイムの仕事も抱えるようになりました。それなのに男性が専業主婦ありきの働き方を続けていては、女性の負担は増すばかりです。

今は育休や時短勤務の制度もありますが、現状では利用者の大多数が女性です。早くフルタイムに復帰してキャリアを築きたいと思っていても、夫の働き方が専業主婦ありきのままではなかなか実現できません。その結果、ワンオペ育児が続いて時短勤務も長引いていく──。この悪循環に、もどかしい思いをしている人も多いのではないでしょうか。