日本では、母親が諦めなければいけないことが多すぎる
どこの国でも子どもを持つ女性は大変ですが、日本の場合は、欧米の先進国よりも「お母さんが諦めなければいけないこと」が多い気がします。これは必ずしも「制度」だけに問題があるのではなく、母親に対して「24時間母親でいること」を求める周囲のプレッシャーによるところも大きいです。
現に子どもを持つお父さんが仕事の付き合いなどで飲みに行くことをとがめる風潮はあまりありませんが(もっとも今はコロナ禍で飲みに行くこと自体が大変ですが……)、これが「お母さん」となると途端に「小さな子どもがいるのに飲みに行くなんて……」と言われてしまうこともあります。実はヨーロッパの社会でも多かれ少なかれ「お父さんに対してよりもお母さんに対して見方がシビア」な部分はあるものの、「子どもをベビーシッターに預けること」は日本より日常化していますし特にとがめられることはありません。そうはいっても「インターネットで全く知らないベビーシッターに頼むのは怖い」と考える人が多いのはヨーロッパも同じです。ただベビーシッターを利用している人口が日本よりも多いため、ママ友同士などでベビーシッターさんを紹介することが多いです。
ドイツの子育てを助ける「日中のお母さん」
ドイツに関してはTagesmutterも人気です。Tagesmutterとは直訳すると「日中のお母さん」です。つまり親が働く平日の日中に子どもを預ってくれる、日中のお母さんということで「保育ママ」と訳されることもあります。このTagesmutterは自宅で子ども(最大5人まで)を預かるため、子どもは家庭的な雰囲気のなか育つことができます。Tagesmutterになることができるのは子育て経験のある女性、または子どもが好きな女性で、自治体によって多少の差はあるものの、育児の基本的なことや救急処置等の講習を300時間受け、自治体の認可を得る必要があります。なお、Tagesmutterの住居に関しても、事前に自治体から子どもを預かることに適しているか等のチェックがあります。
Tagesmutterのメリットは、預ける時間や迎えの時間などの融通がきくことです。また保育料が1時間あたり2~12ユーロ(州によって違いがありますし、個人の事情による差もあります)と比較的安いことも魅力です。良いTagesmutterを見つけるには友達や知り合いの紹介だったりと口コミが多いのですが、市の児童福祉課で紹介してもらうこともできます。名前の通り、基本的には昼間に子どもを預かることが多いですが、事前に相談すれば夜預かってくれることもあるので、親が夜お出かけする際に便利です。最近はジェンダーの平等に伴い、Tagesvater(「日中のお父さん」または「保育パパ」)もいます。