高齢化社会の今、介護は誰もが避けて通れない問題です。ところが、親が元気なうちは実感が伴わないもの。「要介護」という現実に直面してから慌てて対応する方が大半です。

しかし男性の多くはそうした状況に至っても、介護の問題を自分の都合で考える傾向があるようです。親に対する情もある。経済的な負担も気になる。それで老人ホームに入れたり、ホームヘルパーを頼むことに難色を示し、在宅で妻が介護をすればいい、などと勝手に決めてしまう。

妻の6割弱は配偶者の親を介護したくない

妻の6割弱は配偶者の親を介護したくない

とはいえ介護は実の親に対して行うのでさえ大変なものです。下の世話をはじめ苦痛を伴う仕事の連続。肉体的な疲れや精神的なストレスは相当なものになります。厚労省の調査によれば、介護を受ける者に対して憎しみを感じたことがある人は35%以上もいるそうです。それが高じて虐待に至る、介護する側が体を壊すことも少なくありません。

そんな大変な役目を、「嫁ならするのが当然」とばかりに押しつけられたら、たまったものではない。他人でしかない夫の親の介護など嫌という妻が大半なのです。夫はこのことを、大前提として頭に入れておいてください。介護は夫婦で行うものという発想を持ち、妻の思いをくみ取りながら2人で模索していきましょう。

では、妻が親の介護に最善の努力をしてくれるようにするには、どうしたらいいのでしょうか。

前の設問と答えが重複しますが、会話を多くし、強い絆で結ばれた夫婦関係を築いておくことです。会話があればどのような形で介護をするか前もって話し合えますし、在宅介護をするにしても役割分担をする発想が生まれます。介護をする気になるかどうかは夫の妻に対する思いやり次第。良好な夫婦関係が介護のモチベーションを支えるのです。

(構成=相沢光一)