一度立ち止まったことで思い出した「繊細な自分」

静かに絵を描いたり、空を眺めたり……。

働けないまま家にこもり、ひとりの時間を過ごすうちに、自分の静かな面に気がつきました。役に立たないことを無駄だと思い、職場で常に気を張っていた自分とはまるで別人のような、静かで穏やかな自分。

それは、大人になるにつれて忘れていた「繊細な自分」でした。

エレイン・アーロン博士の『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』を読み、HSPという気質を知ったのも、この頃です。

2年間の休職を経て、復職。実験室でデータをまとめていたときのことです。

「ああ、こうすればいい」

どのデータをどう計算するべきか、今後やるべき実験は何か。

すいすいと思考が進んでいく、とても不思議な感覚にとらわれました。はるか先まで見通しがきき、遠くまで手を伸ばせるような……とても静かで力強い感覚でした。

考える間もなく、自分が何をどうすればいいのかがわかる。

それは、仕事で繊細さが全開になった最初の経験でした。

言葉にならない相手の本音を感じとること、丁寧に仕事をすること、小さな情報を数多く拾って最善の一手を予測すること。ストレスの多い職場で裏目に出ていた繊細さが、自分に合う環境では大きな力になることを実感しました。