「わたし、これだったんだ」とSNSで大反響を呼んだ、30万部突破のベストセラー書籍『繊細さんの本』。「まわりに機嫌悪い人がいるだけで緊張する」「相手が気を悪くすると思うと断れない」「疲れやすく、ストレスが体調に出やすい」「細かいところまで気づいてしまい、仕事に時間がかかる」。そんな悩みを抱えて生きる繊細さんの「気がつきすぎて疲れる」を解消し、健やかに生きていくためのライフハックを紹介したのが、著者であり、日本では数少ないHSP専門カウンセラーである武田友紀さん。武田さん自身が、自分は「繊細さんだ」と気づいたきっかけは休職だったと言います。

※本稿は、武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

海辺を歩く女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokoroyuki)

仕事上の成果は出ていた。なのに突然、出勤できなくなった

私自身、繊細な気質を持っています。思い返せば幼い頃から繊細でしたが、「どうやら他の人より繊細らしい」と気づいたのは社会人になってからでした。

大学卒業後はメーカーへ入社し、技術者として商品開発を担当。上司と仲間に恵まれてはいたけれど、毎日忙しくて夜中まで働きました。部品の小型化に成功する、特許出願で表彰されるなど、仕事上の成果を出していたものの、どんなに評価されても自信を持てず「あれもこれもやらなくては!」と自分に鞭打つ日々。

新商品の発売日が迫り、あまりの忙しさに部署内で休職者が出始めます。注意喚起が行われたときにはもう遅く、重要な実験データを提出し終えた翌朝、糸が切れたように会社に行けなくなりました。入社6年目のことでした。

「なぜ自分はストレスに耐えられなかったのだろう」

一緒に働いていた同僚や上司に申し訳なくて、泣きながら自分を責めました。1カ月ほど休みをもらって復帰するつもりでしたが、会社のロゴを目にしただけで涙があふれ、どうしても行くことができません。休職は約2年に及びました。