新型コロナウイルスの感染拡大とともに、私たちのライフとワークは大きく変化しました。ワークにおいては、在宅ワークを強いられ、慣れないオンライン環境に悪戦苦闘した方も多いのではないでしょうか。ところがある調査では、コロナ禍において、日本人の幸福度が増加しているという結果が報告されました。そこにはどんな理由があるのでしょう。また危機的な状況においても、幸せを実感できる人にはどんな力があるのでしょうか。幸福学の第一人者、慶應義塾大学大学院の前野隆司教授に伺いました。
ビーチで両手を広げている女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Hakase_)

コロナ禍で起きた、幸福度を上げる要因とは

さまざまな状況の人がいますから、一概には言えませんが、この状況下で日本人の幸福度が上がっている大きな要因のひとつは、やはり通勤時間が減ったことでしょう。例えば、都市部の人であれば、都内への通勤時間に片道1時間半程度かかります。1日のうち3時間も、満員電車に乗っていたわけです。それがなくなったことは、心身ともに大きな変化だと思います。しかもその時間を、家族で食事を共にする時間に使うことができたり、自分の趣味や学習の時間に充てられるようになったのですから、そのような人は幸せを感じられることでしょう。

また、リモートワークにより、無駄な会議が減ったことや、社員間(上司との)での無駄な会話が減少したことも要因だと考えられます。ただし、社員間の無駄な会話というのは、大切なコミュニケーションという側面もありますから、これについては注意する必要があります。