研修を受けずして最高の仕事はできない
プロジェクトは常に進行中なのだから、待っていてもヒマなときなど来ない。そもそも研修を受けずして、お客様に最高の仕事を提供することなど不可能なのだから、忙しくてもスケジュールをやりくりして研修を受けるのが当たり前。まわりの人たちも、「研修なので抜けます」と言えば、嫌な顔ひとつせずにその穴をカバーする。
一方、日本企業の場合、研修は後回しにされることが多いのではないでしょうか。
「桶谷さん、研修に参加してください」
「いやー、いまちょっと忙しいので」
「じゃあ、しょうがないですね」
となりやすい。
ちょっとした部内研修ですら、全員が参加できる日を苦労して設定した揚げ句、簡単にリスケになったりします。つまり外資系企業とは、研修というものの位置づけが違うのでしょう。
OJTだけでは不十分な理由
日本では研修よりも、「上司の背中を見て学ぶ」ようなOJTが重視されているようです。もちろんOJTも、オペレーション能力を上げるためには必要でしょう。しかし体系立った理論がベースにないと、いままでのやり方しかできないので、変化に対応できません。
逆にいえば、理論があれば、何か変化があったとき、その理論に戻ればいい。そうすればどこまでさかのぼって変えればいいかという判断がつく。しかし多くの日本企業では教育といえばOJTが中心です。だからどんな上司のもとに配属されるかによって、自分の身につけられるスキルレベルが決まってしまうのです。
このように、マーケティングのプロを育成する環境としては、やはり外資系企業のほうが進んでいるのが現状です。
ただし、会社の用意してくれる教育がすべてではありません。私は会社員だったころ、社内で有志による勉強会をよく開いていました。終業後の社内で、飲み食いしながら勝手に他社の事例を分析するのです。いまはこういう会は開きにくいかもしれませんが、インターネットを利用した勉強の機会はたくさんあるのではないでしょうか。
ぜひとも自分で学ぶ姿勢を持ち続けてもらいたいと思います。
構成=長山清子 写真=iStock.com
大日本印刷、外資系広告会社J.ウォルター・トンプソン・ジャパン戦略プランニング局 執行役員を経て、2010年にインサイト社設立。初著『インサイト』(ダイヤモンド社)で、日本に初めてインサイトを体系的に紹介。他に『インサイト実践トレーニング』『戦略インサイト』(ともにダイヤモンド社)など。商品開発・ブランド育成などのコンサルティングを行っており、消費財・サービス・テック系企業などで実績多数。インサイト オフィシャルページ