新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、業績悪化が見込まれる企業は相当数に上り、本格的なリストラが始まると見られている。アフターコロナのリストラ対象者の特徴とは? 人事関係者へのインタビューで、テレワーク時代のリストラの新基準が明らかになった――。
人々が散歩新宿駅
※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokouu)

今後、本格的な“赤字リストラ”が始まる

2019年に早期・希望退職者を募集した上場企業は36社、対象人数は1万1351人。2012年以降では最も多い数になった(東京商工リサーチ調査)。ただし、リストラに踏み切った企業の中には、業績好調のときに人員のスリム化を図ろうとする黒字企業も含まれ“黒字リストラ”とも呼ばれた。

今年2020年1~3月に希望退職を募集した企業は23社で、表向き新型コロナによる業績を理由に募集したのは2社にとどまる。しかし業績悪化の企業が相当数に上るため、今後、本格的な“赤字リストラ”が始まるとみられている。

解雇ルールが厳しい日本では、通常の退職金額に上乗せした「退職割増金」を目玉に退職したい人を募る希望退職という手法が一般的だ。しかし「希望」といっても実際は退職してほしい人に「あなたに任せる仕事は当社にはありません。社外で活躍できる道を探しては」という退職勧奨を行っている。

一方で辞めてほしくない社員には「一緒に会社の再生に向けてがんばろう」と言って慰留する。この手法はバブル崩壊後の不況時のリストラで定着し、2000年のIT不況、リーマンショックや東日本大震災時のリストラでも多用されてきた。