「富裕層とは思えない年収」の人が多い
また、私が起業した当時はまだスマホが存在していない時代であり、この20年で人々のライフスタイルも大きく変わりました。そのため、最近はインターネットを駆使し、若くして成功する人に出会うことが増えました。また、当時私が学んだ富裕層も、そろそろ引退、隠居のタイミング。すでに第一線を退き交流が途絶えた人もいます。
なので、かつての富裕層がやっていることよりも、最近の若い富裕層の思考と行動から得る教訓のウエートを多くしています。年齢的には20代後半~50代前半といったところで、30代後半~40代後半がボリュームゾーンです。これは私の年齢的に、そういう人との交流が多いということでもあります。
対象の職業は主に「起業家・経営者・自営業者」で、事業規模から見て明らかに「年収2000万円は超えているであろう」人です。
ここで「年収2000万円なんて大したことないな」という人は実態が見えていません。というのも、このくらいになると個人の実効税率が55%と大きな負担となるため、売上は法人名義にして本人は役員報酬として給与をもらう形のほうが、税効果上キャッシュアウトが少なく済むからです。
その役員報酬も上げれば上げるほど社会保険料負担が大きくなるので、それもあまりうれしいことではありません。だからほとんどの人は自分の収入自体は減らす傾向となり、統計上は「富裕層とは思えない年収」なのですが、それは見かけだけなのです。
富裕層は意外に現預金が少ない
世間では富裕層の定義を「金融資産1億円以上」などと言われますが、友人知人に「いくら持ってるの?」などとは失礼で聞けませんし、仮にアンケートを取っても本当のことを言うとは限らない。
なので事業の様子を見て、「明らかにこれぐらいはいってるな」、という観察ベースであることはご了承ください。
たとえば「こないだ5億円の1棟ビルを買ったよ」というなら、ローンを組むとしても少なくとも2000万円以上の年収(あるいは年商)があり、1億円程度の余裕資金があるとわかる、といった具合です。
むろん富裕層にもいろいろあり、冒頭の先祖代々からの富裕層もいれば、事業を興してバイアウトし、その資金でベンチャーキャピタルファンドなどを運営しているような富裕層もいます。私の知り合いにも両方いますが、最も多いのが「現役でビジネスをしている富裕層」です。彼らの意外な特徴としては、「現預金が少ない」ことです。その理由は、現金はほぼ事業に再投資しているからです。そのため資産のほとんどは株や不動産で、「貯金を取り崩しながら悠々自適」というイメージとはかけ離れています。
だから「金融資産の額」などといった統計からは浮かび上がってこないのです。それはソフトバンクの孫正義氏やファーストリテイリングの柳井正氏を見れば明らかなように、彼らにとって事業とは生きがいでもあるのです。