時間を区切る
時間を区切るというのは、ストレスの原因に直接働きかけるのではなく、休憩時間や休暇を積極的に取り入れることを意味しています。疲れてから時間を区切るのではなく、疲れる前にあらかじめ休憩や休暇の予定を入れるようにしましょう。事前に長期休暇の予定を入れておくことで、1~2カ月前くらいから少しずつ気分がウキウキする経験をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、「あらかじめ予定する」のがポイントです。
この時間を区切るという習慣は、実は誰もが日常的にやっていることでもあります。意識ることができます。
するしないにかかわらず、日中働いている人であれば、昼食時にはランチタイムと称して時間を区切っていますし、コーヒーやお茶を飲むなど、休憩を挟むケースもあるでしょう。このように時間を区切ることで、仕事の緊張感を一時的に解きほぐすことができているのです。
時間を区切ることは、ストレスの「持続期間」を区切る効果があります。長期間で「区切る」場合は、1カ月先でも、3カ月先でもいいので、来月の遊びの予定を決めたり、夏季休暇のレジャーや楽しいイベントの予定を立てましょう。日常生活を送りながらも、「区切り」が明確になり、そこまでがんばるモチベーション(動機づけ)にもつながるのです。
空間を区切る
2つめは、ストレスや緊張のある場所(会社)から空間的な距離をとることで、連続する緊張状態を区切る手法です。
たとえば、社員食堂でお昼を食べるよりも、会社の外のほうが気分転換になります。休日に自宅でゆっくりするよりも、郊外にドライブに行き日常生活から距離を置くことで、自分の状況を冷静かつ客観的・俯瞰的に考えることができるのです。
遠くに行くのは難しいという方は、会社帰りに展望台などの高いところに登り、垂直方向に空間を区切ってみてはいかがでしょうか。
五感を区切る
3つめは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感に変化を与えることで、緊張した気分を区切る方法です。人間の感情は、五感に大きく影響を受けています。だからこそ、五感を刺激する=“区切る”ことによって気分転換をすることはとても重要になってきます。
たとえば、壁にかかった絵画や観葉植物を眺める(視覚)、音楽を聴く(聴覚)、アロマを焚く(嗅覚)、甘いものやエスニック料理を食べる(味覚)、温泉につかる(触覚)などの行為を通じて、緊張を和らげたり、気分を変えるというのは、多くの人が無意識にやっていることです。
ここで紹介した習慣をすでにお持ちであれば、今後はよりいっそう意識的に、自分のコンディションをいい状態に保つための「区切る」習慣として、ストレスを溜める前にやってみてください。先述したように、マラソン選手はベストコンディションで走り切るために喉が渇く前に水を飲みます。みなさんも疲れてから休むのではなく、疲れる前にあらかじめ「区切る」を実行すると、より効果を実感できるはずです。