企業風土が変わらないとABWの良さが発揮されない

顧客のニーズに合わせて、オフィス移転の際の家具の搬入、間仕切りなどを設計するプロジェクト営業推進部で働く河村多恵さん(40代。入社19年目)。長く営業を担当しており、3年前からプロジェクトマネジャーを任されている。ABWを顧客に積極的に勧めているが、担当する案件でまだ導入事例はない。興味は持っても、自社オフィスで展開するのは難しいと考える顧客が多いからだ。設備投資にお金がかかるのはもちろん、企業風土などが大きく関係していると河村さんは言う。

プロジェクト営業推進部 第3プロジェクトマネジメント企画推進室 河村多恵さん
プロジェクト営業推進部 第3プロジェクトマネジメント企画推進室 河村多恵さん

「ABWは環境を変え、働き方革命を推進するいいきっかけになります。でもこれだけいい設備があっても、根本的な働き方の考え方やシステムを変えていかないと意味がありません。今は実現が難しくても、後々やっていけるように、お客さまと知識を共有していければいいなと思っています」

職業柄、社外を飛び回る河村さん。

「制度上最低週1回出社すればいいのですが、会社で過ごすことが多いですね」と、阿志賀さん同様にオフィスの居心地の良さ、仕事のしやすさを強調する。どこにいても必ず帰ってきたくなる、マイホームのようなオフィスと言ってもいいかもしれない。

また、入社2年目の後輩社員と一緒に組んで仕事をしていることで、考え方も変わった。2人作業の席で一緒に仕事をすることが多いのだが「イマドキの若者ですから、午後5時45分の定時になるとさっさと帰る(笑)。私も“だらだら残業”は不要だと思っているので、2人でやる作業はなるべく早く終わらせ、自分も早めに帰るように心がけています。おかげで睡眠時間が増えて健康的な毎日を送っています」と満足そうだ。

気になるのは、新入社員同士で集まっているのが多いこと。「ひっそり隠れられる場所があるので、そこで仕事の失敗を話し合っていることもあるみたい。上司や先輩に言いづらいことがあっても、すぐに報告できるような仕組みづくりが課題です」

働くことの楽しさを伝える。それが自分たちの使命

一方、管理職は今の状況をどう思っているのか。販促プロモーション企画室の室長を務める小泉佳子さん(40代。入社23年目)は、ショールーム勤務等を経て、自社製品のセールスプロモーション(SP)を行うチームのリーダーに。XORKに移転後、今まで以上に、仕事の内容や活動によって、1日のスケジュールを綿密に立てている。自分がオフィスのどこにいるべきかを考え、そしてチームメンバーがどこにいるかを把握するようにもなった。

コーポレートコミュニケーション部 販促プロモーション企画室室長 小泉佳子さん
コーポレートコミュニケーション部 販促プロモーション企画室室長 小泉佳子さん

「私のチームは、プロモーション企画実施部門なので、業務のフェーズが“10の活動”に落としやすく親和性が高い。みんなでアイデアを出したり、1人で企画書を作ったり、それをさらに共有したりと、おおいにABWを活用できます」

しかし、SNSやデジタルマーケティングなどを活用する、という考えが同社ではまだ立ち遅れている。新オフィスに移転する際、外部のPR会社と連携してSPを行ったが、今後も続けたいという構想がある。

「実際の仕事は辛いことも多いけれど、職場が快適でワクワクするような空間であることは間違いないです。“働くことは楽しい”というメッセージを、もっと世の中に発信したい。それが私たちのミッションです」