今回のコロナショックで、転職市場は「売り手市場」から「買い手市場」に変化しました。しかし、転職サービス「doda(デューダ)」編集長の喜多恭子さんは「転職活動がしやすくなったうえ、将来性のある会社を見極める絶好のチャンスとも言える」と語ります。転職に成功するための条件は、そして自分に合った企業を見極める方法は――。喜多さんに、コロナショック後の転職の傾向と対策を聞きました。

売り手市場から買い手市場へ転換

──コロナショックによって、企業の中途採用にはどんな変化が起きているのでしょうか。

ここ数年、中途採用市場はとても活況で、いわゆる「売り手市場」が続いていました。しかし、今年3月の求人数は前年同月の約86%に落ち込んでいます。これに対して求職者数は横ばいで、去年の3月からあまり変わっていません。

【図表1】コロナ前に比べ、求職者数はほぼ横ばいだが求人数は減少

その結果、求人倍率は2017年以来の低水準となり、今年3月の時点で1.43倍にまで低下しています。中途採用市場は、「買い手市場」へ転じていると言えるでしょう。

これを業界別に見ると、コロナを機に採用数が大幅に減ったのはやはり宿泊業や飲食サービス業。そのほかの業界も皆減ってはいるものの、減少幅にはあまり差がありません。どの業界も、中途採用を同程度に絞っていると見ていいと思います。

【図表2】宿泊・飲食サービス業の求人数は大幅減、ほかの業界は減少幅に差がない