自分の経験やスキルを棚卸ししておく

──自分の経験を振り返る際に、心がけるべきことはありますか?

どんな仕事をどんな工程で、どれぐらいの裁量を持ってやってきたか。転職活動を始める前に、この3点を細かいレベルまでしっかり棚卸ししておきましょう。自分だけでは客観的に見られないという場合は、友達や同僚に聞く、コーチングを受けるなど第3者の声を求めてみてください。

私は仕事柄、転職希望者とお話しさせていただく機会も多いのですが、「経験と言えるほどの経験がなくて……」と言われる方がたくさんいます。でも、よく話を聞くと、しっかりした経験を積んでいることがほとんど。せっかくの武器を把握しないままではもったいないなと感じます。

──経験の棚卸しは、転職活動の基本とも言えそうですね。

その通りです。それをすることで将来の展望も見えてきますし、自分の武器や足りないものに気づくこともできます。今転職すべきなのか、もう少し経験を積んでからにすべきなのかも見えてくるでしょう。転職先を比較検討する上でも、大いに役立つのではないでしょうか。

経験やスキルはその人の資産です。これさえしっかり把握していれば、何が起きてもサバイブしていけるはず。後は自分の展望がかなう会社を見つけられるかどうかだけなので、明確な意図を持って転職活動できるのではと思います。

転職先の選択肢は広がっている

──その「展望がかなう会社」はどう見極めればいいのでしょうか。転職後のミスマッチに悩む人も多いようです。

例えば、現在勤務中の会社がコロナで業績不振になったという理由で転職するのなら、変化に強い企業を選ぶのがおすすめです。コロナに際してすばやくリモートワークやオンライン面接に切り替えた企業は、この先不慮の事態が起こっても対応できるだけの力があると見ていいでしょう。

また、柔軟な働き方を望む人は、そうした制度や風土があるかどうかも確認して。こうした働き方を望む声は、コロナ以前からライフスタイルの変化がある女性などから多く上がっていました。当時は、この願いに応えられる企業はそう多くはありませんでしたが、コロナを機に在宅勤務や時差出勤を導入するところが増え、転職先の選択肢も広がりつつあります。

コロナショックは、企業の対応力や柔軟性だけでなく、「本気度」を見極める上でもチャンスかもしれません。女性活躍推進や働き方改革推進も、現在の企業の取り組み状況で本気度がわかるように思います。

自社に新しい価値観をもたらそうと本気で取り組んでいた社は、引き続き女性活躍や働き方改善の施策を採用していくはず。その意味では、転職先の体質や実践力は以前より見えやすくなっていると言えそうです。