働き方の柔軟性を重視する転職希望者が急増

──転職希望者のほうはどうでしょうか。会社選びの基準や希望職種などに変化はありますか?

パーソルキャリア 執行役員で転職サービス「doda(デューダ)」編集長の喜多恭子さん
パーソルキャリア 執行役員で転職サービス「doda(デューダ)」編集長の喜多恭子さん

はい、転職希望者にも変化が現れています。より柔軟に働ける環境を求める傾向が見られ、dodaの検索ワードランキングでもそれまで下位だった「在宅勤務」や「テレワーク」が急上昇しました。

以前は、まず仕事内容や年収などで検索する人が大多数でしたが、今は転職先選びのポイントとして「働き方の自由度」を重視する人が増えています。これはかなり大きな変化です。

また、転職活動に慎重になる傾向も出てきました。職種選びも同様で、売り手市場の時にはジョブチェンジを希望する人も多かったのですが、今はこうした人が減り、経験を生かして同じ職種へと考える人が増加しています。これは未経験者歓迎の求人が減っていることも影響しているのではと思います。

応募数も活動期間も昨年の2倍をイメージして

──企業も転職希望者も変化しているのですね。その結果、転職活動にはどんな影響が出ているのでしょうか。

1人あたりの応募企業数が増え、それに伴って転職活動の期間も長くなっています。現職の経験を生かして転職する人は採用決定も早いのですが、志望職種のスキルがない人は専門学校などで学んでからチャレンジすることも。また、子育て中の女性の中には、コロナによる休校の影響で転職活動を一時中断した人もいますから、それも長期化の原因になっているようです。

現在転職活動中の人や、これから転職を考えている人は、応募数も転職活動の期間も、昨年までの2倍ぐらいをイメージしておいたほうがよさそうです。ただ、ご自身のキャリアの道筋に合った職なら、時間はかかっても必ず見つかります。何社か受けてダメだったとしても、決して悲観しないでいただきたいですね。

今は、優秀な人でも時間をかけてたくさん受けなければいけない時期。もしそれで友人が落ち込んでいたら、私なら「今は皆そうなんだよ」と声をかけてあげたいです。途中で息切れしないように気楽に構えて、この状況下でのサバイブを楽しむ気持ちで取り組んでいただけたらと思います。

今武器になるのは年齢や資格よりも「経験」

──サバイブするにあたって、今だからこそ狙いめの業界や職種などがあったら教えてください。

採用数はどの業界も同程度に落ち込んでいる状況ですが、EC系・通信販売系や通信サービス・IT系の一部大手企業は、ほかの業界に比べて積極的に中途採用を行っています。メディカル系や物流系も強く、こちらもコロナで需要が伸びた結果と言えるでしょう。

ただ、どの企業も今は経験を重視する傾向にあります。そのため、新たに資格を取ってジョブチェンジしようとするよりも、経験を生かして同じ職種を狙ったほうが圧倒的に有利。今の時代に武器になるのは、資格や年齢よりも「経験」なのです。