「本当にいい企業」を見極めるチャンス

──転職希望者は今動くべきか、それとも動かざるべきか。ズバリどちらだとお考えですか?

動くべきです。なぜならコロナは長期化が予想されるからです。終息してから活動しようと思っても、それがいつになるかは不透明です。さらに、今採用に動いているのは逆境に強い企業。採用数を絞って真の戦力を求めている場合が多いので、入社後に活躍の場を得られる可能性も高いでしょう。

ですから、ある程度の経験値があって、かつ転職の目的や展望が明確な人にとってはチャンス。一方、ただ漠然と転職したいという人には、まず棚卸しから始めてみることをおすすめします。

──最後に、転職を考えている方々にアドバイスをお願いします。

Withコロナ時代の転職を成功させる秘訣は、経験を生かせる企業を選ぶこと、たくさん受けることの2つ。今はオンライン面接も普及しつつあるので、移動時間や交通費といった負担も少なくなっています。このメリットを生かして、ぜひ多くの企業を受けてください。

リーマンショック、東日本大震災、そしてコロナ──。危機が起こるたび、働く人の価値観は大きく変化してきました。転職希望者も、ネームバリューや給与ではなく、安定性や将来性、ワークライフバランスなどを重視して企業を選ぶ傾向が強まり、企業もそれに応える努力を始めています。

コロナショック後の転職市場は、売り手市場から買い手市場へと変化しています。しかし、採用率が急激に悪化したリーマンショック時のような絶望感はありません。転職希望者のニーズを満たすような「本当にいい企業」は採用活動を続けており、真の戦力になる経験者を求めています。この機会をチャンスととらえて、ぜひ積極的に転職活動に取り組んでいただけたらと思います。

構成=辻村洋子

喜多 恭子(きだ・きょうこ)
パーソルキャリア 執行役員 doda編集長

1999年、インテリジェンス(現・パーソルキャリア)入社。派遣・アウトソーシング事業、人材紹介事業などを経てアルバイト求人情報サービス「an」の事業部長に。中途採用領域、派遣領域、アルバイト・パート領域の全事業に携わり、2019年に執行役員・転職メディア事業部事業部長に就任。20年より現職。