9割の企業は出社ベースに戻る
コロナショックで、一気にテレワークが浸透しつつあります。ただ、これは一時的なもので必ず揺り戻しがきます。世の中の多くの企業は、従来通り、社員に出社を求めるスタイルに戻っていくでしょう。この数カ月でテレワークの有用性を感じた人が多い一方で、「なぜテレワークのほうが成果を出せるか」を言語化できる人は少ないはずです。数カ月の実践では、働き方の指標を作るほどの蓄積とはならないからです。ある調査では、テレワークによる生産性は、平均すると通常勤務時の約8割にとどまると報告されています(※)。
参考:新型コロナウイルスの感染拡大がテレワークを活用した働き方、生活・意識などに及ぼす影響に関するアンケート調査結果)
このように考えれば、業績の立て直しを求められる企業としては、安定した成果を出せる過去のやり方に戻ろうとするのは当然。私は9割の企業は、出社方向に戻っていくだろうと推測します。
1割が変わるだけでも大変化
ただし、「やっぱりうちの会社は変わらない」「日本の企業体質は変化しない」と嘆くのはまだ早い。少し長い目で見たときには、大きな流れとして、出社とテレワークを柔軟に組み合わせるハイブリッド・ワークが今後の主流となっていくはずです。
まずこのコロナショックを経て、それでも1割の企業には確実に働き方の変革が起こるでしょう。とくにデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されている企業では、出社とテレワークの比を半々にするところまでは速攻で達成できます。テック系ベンチャーのなかには、100%フルリモートを実現する企業もあるでしょう。
まず1割に大いなる変化が起こる。そしてこの経済の混乱を乗り越えたときに、ハイブリッド・ワークへと徐々にシフトする動きが広まっていく。振り返ってみれば、これまではテック系ベンチャーでさえ、出社型の働き方がベースだったわけです。1割が変わるだけでも大きな変化である、という捉え方がまず必要であろうと思います。