成果を出すためのプロセスを自分で設計できるか

出社型に戻りやすいという前提のなかで、テレワークを今後も続けたいと希望するならば、やるべきことはひとつ。テレワークやハイブリッド・ワークで「自身の生産性や成果がどう上がるか」を論理的に説明することです。

そのためには、プランニングができる仕事をしているかどうかが重要になります。仕事の進め方まで上から提示され、管理されている場合、自分で「この日はテレワーク、この日は出社」と設定することは難しい。しかし、自分自身でもっとも効率的に成果を出せる進め方が提示できるならば、その人にとっては交渉のチャンスです。

たとえばあなたが営業職だったとします。1つの案件をクロージングするまで、これまでなら5回の訪問を重ねていました。その都度、往復の交通費が発生し、お客様と会うまでの移動時間も労働コストに含まれていた。それがオンラインミーティングを活用すれば、最適なタイミングで1回直接訪問するだけでクロージングまでたどりつける。お客様もオンラインの活用を了承してくれている。こうなれば、上司が反対する理由はないでしょう。

成果を出すためのプロセスを自分で設計でき、そのために出社するのか、人と会うのか、あるいはテレワークをするのか、働き方を自分でデザインできる。職能にプラスして、プランニングのスキルが求められます。

マネジメントスタイルを上司部下間で握る

また、テレワークをうまく進めるための2つ目のキモは、上司と部下がマネジメントについて相互に同意をとることです。ドラッガーは「メンバーの強みを見いだし、それを生かすのがマネジメントである」と言いました。管理したほうが成果につながるのか、管理しないほうがアウトプットを出せるのか。この認識にギャップがあると、どんな仕事もうまくいきません。上司は「マネジメント体制をしっかりつくって、こまかく進捗をチェックしていこう」と考えている。メンバーは「なぜ頻繁にミーティングをして監視しようとするのか」と反発する。悲しいけれど、よくある話です。

テレワークと相性がいいのは、プロジェクト型のマネジメントです。プロジェクトメンバー一人ひとりに強みがあり、全員がプロジェクト完遂のために動く。マネジャーだけが話すミーティングは存在せず、全員が事前準備をし、フェアな関係性でプロジェクトを進めていきます。ミーティングは必ず論点を明確にし、何を決めるかまで決めてからスタートする。マネジャーには、自身がファシリテーター、モデレーターとなって結論を導ける、あるいは「決め方を決めること」が求められます。

部長、課長、一般社員と上から下へ降りてきたラインマネジメントから、プロジェクトマネジメントに昇華していく。テレワークをうまく成り立たせるには、上司も部下も共通してプロジェクトマネジメントへのマインドセットを持つことが重要になるのです。