インドでも、新型コロナウイルス感染拡大を防止するために、国全体で大規模なロックダウンが実施されました。困ったのは、ミドルクラスの働く既婚女性たちです。それまで家事を担っていたメイドが家に来られなくなったため、慣れない家事と在宅勤務の両立ができず、仕事を辞める人も出てきました。南インドのベンガルールに住むライターのさいとうかずみさんがリポートします。

3月末に始まった、国全体のロックダウン

3月25日に始まったインドのロックダウンは、5月までは厳しく外出禁止が求められていたが、6月に入ると、州の政府が独自の緩和策を取り始めた。現在は、6月末までのロックダウンを継続しつつ、感染者の出ていない地域ではロックダウンの緩和が始まっている。緩和は段階的に進められ、7月にはモールやレストランなどの商業施設の再開、学校の再開などが予定されている。

入場制限のあるベンガルール市内のスーパーで、ソーシャルディスタンスを保ちながら並ぶ人々
入場制限のあるベンガルール市内のスーパーで、ソーシャルディスタンスを保ちながら並ぶ人々(写真提供=さいとうかずみ、以下同じ)

インドで初めて新型コロナウイルス感染者が報告されたのは1月の終わりだ。中国から帰国した学生が、南インドのケララ州で発症したというニュースは国民を震撼させた。しかし、そこから400キロ以上離れた、筆者が住むベンガルールでは、2月に入ってからもマスクをした人を見ることはなく、飲食店や商業施設も通常通り営業していた。

3月に入って市内の学校が休校になると、人々の生活にも影響が出始めた。筆者も、休校中の子どものためにアマゾンで玩具などを注文したが、政府に「生活必需品ではない」と判断されキャンセルされた。続いてロックダウンが宣言されると、町は封鎖され、警察が検問に立つようになった。不要不急の外出が許されない生活が始まったのだ。