3.数字を追うのが大好きな「活動ゾーン」
活動ゾーンの人は、思考ゾーンとは正反対の現実主義。目の前にある1を2、2を3に拡大する仕事が得意です。
活動ゾーンが拡張している人は、三つのゾーンの中では一番ビジネスライクとも言えます。
活動ゾーンの人が部下の場合、目の前に見える現実や数字がすべてなので、抽象的なイメージやコンセプトを連発しても、「何が言いたいんですか?」と、理解ができません。
また、目に見える仕事や「こうやれば、ああなる」というプロセスがはっきりした仕事には理解し興味を示しますが、新しく何かを発想しなくてはならない仕事には今一つモチベーションが上がりません。展開は得意ですが、創造は不得意。
もしもこのタイプが部下の場合、成果主義が合っています。「頑張ったら、お給料が増える」「ポジションが上がる」というような、目に見える価値があるとモチベーションを上げ、目標設定や数字を達成しようとします。注意としては、目標や数字が本人の日常感覚とかけ離れすぎていないこと。想像力に欠けるので、自分の中の現実を超えたものにはピンとこなくなってしまいます。
車を売りたいなら真っ先に試乗してもらう
あなたが活動ゾーンのお客様に車を売りたいケースを考えてみましょう。このタイプの人には、コミュニケーションで前置きを長くするよりも、実際に試乗してもらうのが一番です。商品に直接手で触れて体験してもらうことで、よさを実感してもらいます。
「とても座り心地がいいですよね?」「ドアの開閉がラクですよ」と、とにかく触ってもらいます。このタイプはモノとのコミュニケーション、自分の手で触れることを好みます。
最後の一押しで効果的なのはお値打ち感や特典といったお得感。
「ここだけの話ですけど、今買うと△万円引きです」
「本日購入のお客様にはカーナビをおつけします」
こういう誘い文句にグラリとくるのが活動ゾーン。その際、長い話や理屈っぽい話はせず、端的に具体的に伝えるのがポイントです。
ちなみに、このお値打ち感を打ち出すセールスを思考ゾーンの人に行うと「何か裏がある?」と疑心暗鬼になられたり、「値段で買うわけじゃない」とプライドを傷つけてしまうことがあり、かえって逆効果です。拡張しているゾーンが違うだけでも、アプローチはこれだけ変わります。
クレーム対応でやるべきこと、やってはいけないこと
ビジネスをしていれば、お客様に喜んでもらったり感謝されたりすることばかりではありません。なかには、「一体、これはどういうことなんだ!」と、猛烈なクレームをつけてくるお客様もいます。
このとき、そのお客様が思考、感情、活動のどのタイプなのかがわかれば、適切な対応を取ることができます。ときに相手が激しく主張してきても、アプローチ次第で納得させることは可能です。
クレームで問われるのは、こちら側の言い分を相手に伝えることではありません。相手の感情や状況、求めていることを理解すること。同時に、相手に納得してもらうこと。相手をよく理解するところに、相貌心理学を活用する余地があります。
写真=iStock.com イラスト=森 海里
1975年生まれ。2004年、アパレルの勉強のためにフランスに渡り、現地で相貌心理学に出会い、傾倒。学会長に師事し、5年の研修課程を経たのち、世界で15人、日本人では初となる相貌心理学教授資格を取得する。帰国後は、1億人以上の顔分析に基づく相貌心理学を広めるために、セミナーやセッション、企業への講演などを行う。著書に『人は顔を見れば99%わかる―フランス発・相貌心理学入門』がある。