外で気軽に話し合う文化、リトリート

レクリエーションデイと近いが、最近耳にするものに、リトリートがある。もともとリトリートというのは、宗教と結びついていて、忙しい日常や混沌とした状況を改善するために、静寂の時間を設けたり、オープンな話し合いをしたりすることを指す。

現代におけるリトリートは、大概、ランチと数時間の話し合いがセットになったもので、長期的視野に立って職場環境の改善や、仕事の効率向上など課題を議論する。しかも、社内のいつもの会議室ではなく、環境を変えて気分あらたに、どこか社外で開催することが多い。

リトリートという言葉を使わずとも、こういったやり方は、多くの組織に導入されている。私がこれまでに参加したものも、外部の眺めのいい会議室でおいしいランチをいただき、その後、組織の課題がトップから出され、小グループに分かれて課題に対する対応策を話し合い、最後に全体でそれを発表してまとめるというものだった。普段のオフィスから出ることで、メールや電話から解放され、気分も変わるし話し合いに集中しやすくなる。

その時の課題は、内部のコミュニケーションや情報共有を促進するにはどうしたらいいか、どうすればもっと魅力的な職場になるのか、効率をあげるために求められる設備やテクノロジーはあるか、などなど。

リトリートがもたらす効果とは

トピックスは職場で定期的にある満足度調査やマネージメントの評価調査、個人の目標設定の話し合いなどを経て見えてきたものだったり、新たにその場でみんなに聞いて出てきた課題のこともある。

様々な部署や立場の人たちと同じグループで話し合いをすることで、課題に対する新たな視点が生まれたり、「やっぱりみんなそう思うよね」といった悩みの共有や共感が生まれたりする。そこで話し合って改善策が提案されても、すぐに課題が解決されるわけでもないし、実現しないこともあるが、オープンに話ができるのは刺激になるし、上層部に頼ったり、任せるのではなく自分も組織の一員として主体的に考えられるようになる。

ある友人の会社は2年に一度、社員の心身の健康調査が行われ、その結果を踏まえてどんな福利厚生や活動、環境改善が必要なのかを社員が話し合って、自らが提案していくのだそうだ。