――19年末の税制調査会では、寡婦(夫)控除における未婚のひとり親への適用などが実現しました。松川さんをはじめ女性議員が中心になって奮闘されたそうですね。

従来の制度には、男女で控除内容に差があったり、未婚でひとり親の人を寡婦(夫)に含めなかったりと現代にそぐわない部分がありました。議決日前日の税調の場で、稲田朋美幹事長代行はじめ女性議員のパワーで署名を集め、男性議員を含めて130人くらいの賛同をもらい、変えましょうと働きかけたんです。伝統的家族観が崩れる、未婚で子を産む女性が増えるといった反対意見もあったのですが、結果的にわかったのは、「未婚・既婚や男女で子育てを区別するなんてありえない」という意見の人が男性を含めて意外に多いということです。

プレジデント ウーマン プレミア 編集長・木下明子

一方で、新聞を中心としたメディアでは最初、このニュースについての女性議員の動きがまったく報道されませんでした。「女が日本の制度を変えられるはずがない」みたいな意識が働いたのかと怒りを感じました。総理に頼んだから実現したなんていう根拠のない話も出て、女性が何かすると「男性の後ろ盾があったはず」という意識が透けて見えて不愉快でしたね。1週間くらいして、ようやく内幕も含めて報道されるようになり、女性が中心になったことが認識されました。2020年はどうも目玉がない税調だといわれていたのですが、最終的にこれが一番の話題になり、かつてない税調だったと思っています。

次は3割しか支払われていないという養育費未払いの問題にも、国が取り立てするように変えるなどして取り組んでいきたいです。

小泉環境相の育休はなぜ必要だったか

――少子化対策にしても、古い価値観を引きずった政治家は、女性が何に困っているのか本質的な点がわかっていないように思います。

同感です。私は20年を少子化対策元年にしたい。今、頑張らなかったら、母体となる女性の数自体どんどん少なくなって厳しい状況に陥ります。対策の1つとして、私は男性の育休取得の義務化による家事・育児の分担の推進に取り組んでいます。統計的にも男性の家事・育児関連の時間が長い世帯ほど、第2子以降が多く生まれることがわかっています。夫婦の幸せ度も確実にアップします。

※寡婦(夫)控除:もともとは戦争で夫を亡くした妻を支援するための制度で、1951年に創設。配偶者との死別や離婚によって独身になった人が、一定の条件のもと所得税や住民税の控除を受けられる。2019年まで男女で控除条件に差があり、未婚のひとり親には適用されなかった。