管理職経験がなくても、意欲があればチャンスはある
女性管理職のニーズが増えていると説明しましたが、具体的には、一般的なメーカー、事業会社の場合だと、現場の課長クラス、職種では管理部門の求人が多いです。
コンサルティング業界やIT業界はプロジェクトごとのチームを結成して動くので、チームマネジャーが求められていますね。女性メンバーはもちろん、外国人の方などいろいろな類の方をフラットに見て、まとめられる人材が重宝されます。業界問わず女性管理職の求人は増えていますが、すでに海外進出をしている、もしくは今後グローバル展開をしようとしている企業や、変革を目指しているフェーズの企業からのニーズが強くなっています。
では具体的にどういった経験のある人が管理職として求められているかと言いますと、何名以上のプロジェクトマネジメントをしたことがあるか、何億規模のプロジェクトを仕切ったことがあるか、部下の評価をするメンバーマネジメントをしたことがあるかなどを問われることが多いです。
とはいえ、管理職経験のある女性はまだまだ少ないので、経験以上に意欲があれば、企業が好意的に感じることも増えています。求人情報の求められるスキル欄に「コミュニケーション能力が高い人」と書かれているのを目にされたことがあると思うのですが、女性のコミュニケーションスキルに期待をしている企業は多いので、安定したコミュニケーションが取れる人であれば管理職経験は問われないことも。「年収を上げたい」、「管理職になってマネジメント経験を積みたい」、「経験の幅を広げたい」という気持ちがある方は、チャレンジすることをオススメします。
自分のキャリアを長い目で見て、積極的なチャレンジを
ただ、現場で相談を受けながら思うのは、管理職というキャリアが選択肢に入っている女性はそれほど多くないということです。実は去年、30~40代の女性150人くらいの方に電話や面談でお話を伺ったのですが、「転職で管理職へのチャレンジなど考えますか?」という質問に対し、前向きな回答をされたのは5分の1。「このままでいい」「自分が管理職になるイメージが沸かない」という声が多く聞かれました。今いる会社で昇進するのであればまだいいけれど、全く新しい環境で管理職としてやっていくというのは、なかなかハードルが高いようですね。
女性は、プライベートによって働き方が大きく変わることが多いからこそ①自分のキャリアに見通しを立てていきたいと思ったタイミング、②周囲の理解と協力を得られる環境、この2つがそろわないと動き出しにくいのかもしれません。ただ、この2つは、待っているだけでは得られないので、自ら周囲に働きかけていくことも大切です。多くの企業が「ぜひ率直に自分の状況ややりたいことを相談してほしい」「一緒に働く環境を作っていこう」と話されています。いつかは管理職に挑戦してみたい、違った景色を見てみたいという思いがちょっとでもある人は、長い目で自分のキャリアを考えて、今は厳しそうに思えても管理職もキャリアのひとつとして考えてみてほしいです。
管理職が求められていると言っても、すぐに結果を出すことを求められることは多くありません。まずは入社して仕事や会社の雰囲気に慣れてもらってから、半年や1年後に登用するというケースもあります。この流れ含め、不安やわからないことがあれば、遠慮なく企業へ相談してみましょう。例えば企業によっては、管理職に限らず、女性を求めているセクションが多数あるので、入社後に「やっぱり自分には管理職は荷が重いな」と感じたら、専門職への転換などを申し出ても問題ないと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今後の転職市場の動向を心配されている方も多いと思いますが、女性を積極的に活用していく動きは今後も変わらないはずなので、ぜひ積極的にチェレンジしていただきたいですね。
文=福田彩 写真=iStock.com 撮影=プレジデントウーマン編集部
大手外資系サービス企業から人のキャリアや人生観に興味を持ち、2013年に中途入社にてリクルートキャリア社に入社。IT業界のキャリアアドバイザーとして約500名程の転職実現のサポートを行い、2018年に現組織に異動。キャリアアドバイザー、クライアント双方にアプローチを行うコンサルタントとして担当。