汗を流す代わりに知恵を出せばいい
私も、身体にものをいわせて宿泊業を営んでいました。55歳の時、どうしても自分の理想の家が建てたくて、借金をして敷地内の小高い山の上に小さなホテルを建てました。わずか10メートルほどですが、階段にして約30段の急坂を上らなければなりません。
その頃は何度往復してもほとんど疲れを知りませんでした。けれども、60歳になる頃、腰に負担がくるようになりました。幸か不幸か、その後2008年のリーマンショックによりお客さまが激減したため、肉体的な負担は軽減しました。借金はまだ半分ほど残ったままでしたが、おかげで腰を痛めるには至りませんでした。
当時のモラトリアムによる減額返済で何とか乗り切りましたが、年々体力は衰えていくことを計算に入れなければならない、と痛感しました。
そして、汗を流す代わりに知恵を出せばよいことに気づきました。自分の夢を叶えてくれる人に投資すればいいのです。
60歳からの新しい挑戦には、若い頃の経験が重要
まずは、61歳の時に外国人をスタッフに迎え、街の中心部に「英会話カフェ」をつくったのです。同時に「ゲストハウス」も開きました。いずれもそれまで培ってきた自分の経験を生かしたものです。
その後、ベトナムに「カフェ」をつくり、「日本語学校」の設立を手掛けました。そして、福岡にも「ベトナムカフェ」をオープンさせました。その間、阿蘇の施設は人に貸していました。
ところが、2016年の熊本地震や諸々の事情ですべての店を畳まざるを得なくなったのです。67歳でした。そして今、阿蘇に帰り、「瞑想センター」として機能しています。私の60代はまさにビルドアンドスクラップの連続でした。
自分の経験と特技、好きなことを生かして、体力に見合った事業を展開することで、生涯、収入を得ることができます。そのために、若いうちからいろんな経験を積む必要があるのです。