子どもに不寛容な大人たち

一番心配なのは、子どもたちへの影響です。

十分な準備もなく、長時間留守番をすることになった子どももいるでしょう。感染拡大防止のため、公園や図書館にも行きにくい雰囲気になり、家で軟禁状態になってしまったことはとても残念です。ただでさえ突然の変化で不安になっていることに加え、外で思い切り体を動かして遊んだりできないのは大きなストレスになります。

一部の自治体では、小中高校生の入館を断る図書館までありました。「休校になった子どもたちが集まると、感染リスクが高まる」という理由です。しかし、集まることが感染リスクになるのは子どもに限ったことではないはず。こうした年齢による差別は、日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」の精神に反しています。科学的な根拠もないのに、子どもたちを悪者にしないでほしいと思います。

また、子どもたちがお友達数人と、庭先や公園で遊んでいると、ご近所の高齢者から「何をやっているんだ!」と叱られたりするケースもあったようです。学校や教育委員会に、苦情を寄せた人もいるそうですね。こうした通報を受けた学校が、対応として保護者に一斉メールで「こんな指摘があったので、あまり出かけないように」と呼びかけた例もあったそうですが、子どもにもう少し寄り添った対応ができなかったのか、私は少し残念に思いました。

子どもたちが抱いた大人への不信感

こうしたクレームが全国各地で相次いだのでしょう。3月9日には文部科学省が、「公園などで遊ぶことは問題ない」という見解を出しています。もっと早くこうした見解を出してくれればよかったのにと思います。

大人はカラオケや飲みに行っているのに、子どもたちは公園で遊べない。大人は図書館で新聞を読んでいるのに、子どもだけが図書館を利用できない。こうした状況を見た子どもたちは、何を感じるでしょうか。間違いなく大人に対して不信感を抱いたと思います。