女性活躍の答えは一つではない
【白河】女性活躍は後回しにされ続けてきた歴史があります。そのリストが有効活用されていれば、もっと早くに目標を達成できていたかもしれませんね。
【柄澤】もっとできることがあったはずだと後悔しています。
同じ頃、部署を新設することになり、2人の女性候補者にリーダーに就くことを打診したところ、1人は「女性だからという理由で昇進して広告塔になるのは嫌です。私は自分の仕事の成果で評価してほしい」と答えました。もう1人は「私がロールモデルになります。ぜひやりたい」と覚悟を持って返事をしてくれました。
私は、どちらもすばらしい志だと思いました。女性活躍の答えは一つではないのです。組織風土も社会も、さまざまな志、思いや成功例・失敗例が積み重なってできていくものです。“男性社会”もそうやってつくられてきたのですから、今後はそれを“ダイバーシティ社会”をつくる糧にしていくべきでしょう。
【白河】どちらの女性の気持ちもわかります。女性にも多様性がある。そして、「もっとできることがあった」という思いが、今の御社の取り組みにつながっているのだと感じました。柄澤さんの女性活躍推進への覚悟が伝わってきました。どうもありがとうございました。
構成=辻村洋子
1975年、京都大学卒業。住友海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)に入社。執行役員経営企画部長、常務、専務を経て、2010年に代表取締役社長に就任。14年6月MS&ADインシュアランスグループホールディングス取締役社長を経て17年4月より現職、16年より三井住友海上火災保険にて現職。経団連においては女性の活躍推進委員長を経て現職。
1961年生まれ。「働き方改革実現会議」など政府の政策策定に参画。婚活、妊活の提唱者。著書に『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP研究所)など多数。