管理職の壁や世間の壁を痛感

一度やりたいと思ったら、実現目指して突き進むタイプ。反対されても、手を替え品を替え説得を続けるため、結果として説得に失敗したことはないのだそう。思うように運ばなかったこともあるが、島田さんはそれを失敗とはとらえない。落ち込みはするものの、すぐ次の一手を考え始めるという。

ただ、今も反省している出来事が2つある。1つめは管理職時代、部下の監督不行き届きを問われた時のこと。最初は、部下の行動でなぜ自分が責められるのかと憤慨したそうだが、さまざまな人と話すうちに「責任を取るってこういうことなんだ」と納得。管理職の責任を甘く見ていた自分を反省した。

2つめは、新卒採用制度「UFLP365(ユニリーバ・フューチャー・リーダーズ・プログラム)」の導入時。従来の新卒一括採用を、大学1年生から通年応募できるようにしたものだ。「若者に早くから自分の将来を考えてほしい」と考えて実現させた制度だったが、世間の反応はまったく違っていた。

プレス発表の翌日、文科省から経団連の就活協定が添付されたメールが。島田さんが担当者と会い、制度に込めた思いやその利点を説明したところ、「100%賛同はできないが」と注釈付きで納得してくれた。

「青田買い目的ととらえる人がいるなんて驚きました。制度自体はいいものでも、世間の反発は予想以上に大きかった。経団連に非加盟とはいえ、新しいことを始めるには配慮が必要なのだなと実感しました」

WAAもUFLP365も、導入は現職に就任してからのことだ。取締役というポジションも、実現の後押しになったのかもしれない。だが、島田さんは望んで取締役になったわけではないと語る。