やりたいことは言えば実現できる
「高校生の時から満員の通勤電車が嫌いだったんです。考えてみれば、皆が同じ時間に一斉に移動しなきゃいけないなんて変ですよね。その違和感は社会に出てからも同じで、ある時『もう我慢したくない!』と思ったんです」
満員電車でエネルギーを消耗してしまったら、仕事に最大限の力は使えず生産性も上がらない。そんな“無駄”は、出社する時間をずらすか、会社以外の場所でも仕事ができれば叶うはず。そう考えた島田さんは、さっそく当時の上司に掛け合った。
この提案は、意外にもすんなり受け入れられたという。普通は新人がそんなことを言えば一蹴されそうなものだが、その頃の勤務先はまだベンチャーだった人材会社のパソナ。自由な社風があり、しかも上司は部下の挑戦をとことん応援してくれる人だった。
「当時の上司には本当に感謝しています。働き方も業務も、こうしたいと言ったことは全部応援してくれました。おかげで『やりたいことは言えば実現できる』と思えるようになり、以降、仕事に対する姿勢のベースになっています」
当時の上司は、今も指標的な存在。折に触れて「あの人みたいな上司になれているかな」と振り返り、自分を見つめ直しているそうだ。
パソナで得た気づきは、ユニリーバでWAAを導入する際の原動力にもなった。それまでも、皆が同じ時間に同じ場所で働く仕組みに疑問を感じていた島田さん。自身が子育て中の働き方に課題を感じたこともあってWAAの構想を練り始め、「言えば実現できる」と信じて提案に踏み切った。
「反対の声もありましたが、今よりもっと楽でワクワクできる働き方がありますよ、皆がもっと力を発揮できて結果的に会社も成長できますよと説得しました。説得の際は、ロジックやデータも駆使しています。私は直感で行動するほうですが、自分がいいビジョンだと信じていても、周りを説得できなければ実現できませんから」