令和の新しい消費者心理

近年は、安全性が高い宅配ボックス(ポスト)とは別の、ガスメーターや自転車のかごなどを宅配便の置き場所に指定する「置き配」が目立ってきました。それに伴い、一部の配送業者やユーザーの間で「盗難トラブル」なども起きています。

なぜ置き配が増えたのか……? 言うまでもなく、日中は家を留守にすることも多い「共働き夫婦」が増え続ける一方で、ネットショッピングやフリマアプリの伸長などにより、宅配便の取扱個数そのものが増えたからです。

その数は、18年度現在で8年前より10億個以上増え、なんと年間約43億個(19年 国土交通省調べ)。置き配を嫌う人たちの間では今後、当然ながら「宅配ボックス(ポスト)」の需要増も見込めるでしょう。

富士経済は、宅配ボックスの市場規模について、2025年には220億円(17年比で約2倍)にまで拡大すると予測しています。既にリクシル以外にも、複数の企業がこの市場に参入。パナソニックや三協アルミ、YKK APなどは、その一例です。

リクシルも、先の「スマート宅配ポスト」を、自社が展開する宅配ボックスの販売数量を伸ばす「成長エンジン」と定義。向中野さんいわく、売上高については「2019年に前年比約270%、20年には前年比約150%との販売計画を掲げている」そうです。

一般には、今後の宅配ボックス普及のカギを、「1台数万円~数十万円の『価格』にある」と見る向きも多いようですが……、それだけではないはず。

なぜなら、令和の消費者は「自分さえよければいい」ではないから。今後は、先のSDGsにも繋がる「社会問題の解決」といった視点、すなわち「宅配業者の再配達(含・CO2排出)」や「女性の家事負担」などの問題解決を意識したメッセージを、いかに消費者に届けられるかが、普及のカギを握るのではないでしょうか。

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牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)
マーケティングライター

マーケティング会社インフィニティ代表取締役。修士(経営管理学/MBA)。2020年4月より、立教大学大学院・客員教授。同志社大学・ビッグデータ解析研究会メンバー。財務省・財政制度等審議会専門委員、内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』『独身王子に聞け!』(ともに日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)ほか、著書を機に流行語を広める。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。