“再配達問題”の解消にも
SDGsとは、日本語で「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」。2015年9月の国連サミットで「国際社会の共通課題」として採択された、2030年までの達成目標です。その数は、17項目にのぼります。
例えば、「貧困をなくそう」や、「人や国の不平等をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」など。
先の「スマート宅配ポスト」は、直接的にSDGsへの関与をうたったものではありません。ですが、商品の特性や向中野さんへの取材から分かる通り、こうした商品が社会に普及することで、近年の社会現象でもある「宅配業者の再配達」や「女性の家事負担」といった問題を、解決できる可能性がありますよね。
これらは、広く長い時間軸で見れば、SDGsの目標である「人や国の不平等」や気候変動、エネルギー問題の解決に繋がるかもしれない。
その視点で、今後の企業価値や企業経営を考えていこうというのが、近年話題になっている「SDGs経営」の本質だと思います。
クリーニング集配サービスにも展開の可能性
リクシルでも、スマート宅配ポストが今後、利用者のストレス改善はもちろん、「再配達」に伴う労働生産性の低下や、CO2排出量の増加などの問題解決に寄与できるのではないかと考えています。
ちなみに、スマート宅配ポストのモニター顧客に対する調査によると、利用者の約95%が「待ち受け家事」のストレス改善を実感し、約94%が総合的に満足を感じていたとのこと。とくに、一般的な宅配ボックスとの差別化ポイントでもある部分、すなわち「IoT機能の利便性」に関する設問では、約80%が「利便性を実感する」と答えたそうです。
一方で、リクシルではこれまで配達する側の宅配業者やEC事業者とも、度重なるコミュニケーションを諮ってきた立場から、「まだ多くの課題が内在することも感じている」とのこと。今後は、同商品(サービス)の普及やさらなるコミュニケーションによって、「宅配クライシス」の問題解決に努めるとともに、「クリーニング集配サービス」など社会サービスとの連携も模索していくそうです。