複数個の荷物の受け取りにも対応

では、そんな女性たちの悩みを解決すべく、18年10月にリクシルが全国発売を開始した「スマート宅配ポスト」とは、どんなものなのでしょう。

同商品(サービス)は先の通り、従来の戸建用宅配ボックスに「IoT技術」を組み込んだ、業界初のIoT宅配ボックス。「IoTを組み込むことで、ユーザーのさまざまなニーズを満たす機能を付加することができました」と向中野さん。

複数個の荷物の受け取りや、荷物の集荷依頼などが、その代表例です。

例えば、一般的な宅配ボックスでは「1つの荷物が投函されていると、その次(2つ目以降)を投函しにくい(またはできない)」といった悩みがあります。

後者の「集荷」についても、依頼だけなら宅配業者のサイトを通じて行えるものの、いざ荷物を渡すとなった際が面倒。「14時~16時の間」など、宅配便の担当者が来る予定時間には幅があり、それまでの間、どうしても先の「待ち受け家事」が発生してしまいますよね。

留守中でも集荷してもらえる

ところがスマート宅配ポストは、利用者の「スマートフォン」と連動。宅配業者のサービスを利用すれば、あらかじめ同宅配ポストに荷物を入れて宅配業者専用のパスワードを設定しておくことで、留守中でも集荷してもらえる仕組みです。

また、複数の荷物受取についても、IoTとスマホをフル活用。仮に、1つ目の(既に宅配ポストに入っている)荷物と2つ目の荷物の宅配業者(やその担当者)が違っても、宅配ポストの所有者が外出先からスマホで解錠すれば、2つ目の荷物を投函できるとのこと。

ちなみに、この商品のボックス部分は、2リットルのペットボトル6本入りが2ケース収まる、大容量サイズ(重さは30kgまで)。縦横それぞれ約33センチまで、高さ約46センチまで収納可能だそうです。

キーワードは“社会的問題解決”

このほか、これまでには、宅配ポストのボックス部分の内側に付いているQRコードを宅配業者が読むことで、2つ目以降の投函が可能になる、といった実証実験プロジェクトも行っていると言います。この方法だと、所有者がボックス部分をわざわざスマホで解錠する手間さえ要らなくなるそうです。

今後の本格運用に向けて、「できるだけスマート宅配ポストの所有者、そして宅配業者の方々の負担を減らせるよう、システムを改善していきたい」と向中野さんは言います。

実はこうした考え方にこそ、令和時代のマーケティングの「真髄」がある。それが昨年、流行語の一つにもなった「SDGs」の発想にも相通じる、「社会的問題解決」の視点です。