子どものあどけない笑顔や励ましの言葉が活力に
だからこそ職場でも部下を育てる立場になったとき、相手を理解しようと努め、その人に応じたサポートを心がけてきた。仕事に対する考え方は人それぞれで、モチベーションも違うということを育児に学んだからである。
「お客さまと関わるうえでも、いろんな人生があるからその方のお考えを受けとめることが大切なのだと、自分も結婚して子どもを持ったことで、前よりもっとわかるようになった気がします」
母としてのまなざしが、子育てにも、仕事にも活かされている。子どもたちと過ごす時間もより楽しめるようになった。
前に「私が病気のとき、家に知らない人が来て預けられたのが本当にイヤだった」とこぼした娘も小学3年生になり、お留守番やお手伝いをしてくれるようになった。今では「ママ、お仕事たくさんあるんだから、がんばらなきゃダメでしょう」と激励を受けることさえある。実は育児と仕事の狭間で追い詰められていたときに、寝かしつけようと一緒にいたら「いつもお仕事がんばってくれて、ありがとう」と突然言ってくれたのも娘。思わず涙が込み上げたと、高橋さんは懐かしむ。そんな子どもたちや部下の頑張りに背を押され、「明日もまたがんばろう!」と思えるのだった。
1964年新潟県生まれ。学習院大学卒業後、出版社の編集者を経て、ノンフィクションライターに。スポーツ、人物ルポルタ―ジュ、事件取材など幅広く執筆活動を行っている。著書に、『音羽「お受験」殺人』、『精子提供―父親を知らない子どもたち』、『一冊の本をあなたに―3・11絵本プロジェクトいわての物語』、『慶應幼稚舎の流儀』、『100歳の秘訣』、『鏡の中のいわさきちひろ』など。