3回のブームを経て、これからタピオカはどこへ

さて、タピオカブームは今後も続くのでしょうか。

「私は続かないと思いますね。ブームとなって以来、本当の専門店だけでなく、次々に店ができて粗製乱造気味です。本来の味や楽しみ方を伝えきれていない。仕事柄、飲んでみますが、中年男性の私にはさほど感動もありません。若い世代の楽しみにしておきたい気がします」(仕入れの責任者である、中堅スーパーの商品部長)

この人に象徴されるように、中年世代は「若い人向け」と見つめており、入り込まないのです。また前述の国立大学の学生数人からも「続かない」という声がありました。

ひとつ指摘しておきたいのは、タピオカは第三次ブームと言われていること。かつて大ブームとなった「ナタデココ」は一過性で終わったとも言われます。この違いは何か。

「台湾スイーツ」への親近感が一つ理由としてあげられるでしょう。例えば「愛玉子」(オーギョーチー)のような昔から親しまれてきた商品もあった。台湾は旅行先としても人気です。

ナタデココも健在で、再び脚光を浴びていますが、発祥はフィリピンです。ビジネス現場ではアジアを「アセアン圏」「中華圏」という分け方をしますが、同じ東アジアの中華圏の飲食のほうが、日本の消費者には敷居が低い。例えていえば、中華料理店とエスニック料理店の違いといったらいいでしょうか。

味も進化したタピオカは、飲料の世界では「豆乳」に似ています。豆乳も最初のブーム時は「健康にはいいけど味が」と敬遠された。それがおいしくなったのです。

2011年から販売してきた大手カフェ

現在のブームよりもかなり前、2011年夏から「タピオカメニュー」を取り入れてきた大手カフェがあります。国内で735店(2019年4月末現在)を展開する「タリーズコーヒー」です。発想の原点は、同年に発生した東日本大震災後に国内に漂う、閉そく感でした。

タリーズでは2011年からタピオカ商品を販売。写真はタピオカミルクティー。筆者撮影

「2011年の春、これから梅雨の時期に入るので、『気分が上向きになるドリンクを販売しよう』という気運が高まり開発したのです。タピオカは水玉がかわいく、ジメジメした気分も吹き飛ばせるという思いでした」(タリーズの女性広報担当)

それ以来、地道に販売してきましたが、ブームを受けて2017年からは「カスタマイズ」としてドリンク価格+100円で提供。すべてのアイスドリンクにトッピングできますが、特に定番の「ロイヤルミルクティー」以外に、「宇治抹茶ラテ」や「マンゴータンゴスワークル」にトッピングするのがおススメだそうです。