流行語大賞、ヒット商品番付にノミネート

12月が近づき、メディアでは、恒例のユーキャン「新語・流行語大賞」のノミネート語や「2019ヒット商品ベスト30」(日経トレンディ2019年12月号)などが発表されています。

タピオカに関しては、前者が「タピる」(タピオカドリンクを飲む、の意味)でノミネートされ、後者は2位にランクインしました。今回のブームは2017年からのようですが、今年、より注目を浴びたといえます。それがいつまで続くか、少し引いた視点で考えてみます。

例えば、日経グループで発表される「日経ヒット商品番付」は長い歴史があり、以前は横綱・大関・関脇……といった大相撲の番付のように張り出されていました。

筆者の知る限り、1987年の両横綱が最もロングセラーに成長した例です。この年、東の横綱はビールの「アサヒスーパードライ」(アサヒビール)、西の横綱は衣料用洗剤「アタック」(花王)が選ばれました。32年たった現在、スーパードライはビール市場(第三のビールは別統計)の約半数を占め、アタックはグローバル市場を含めた売上高1000億円超です。

2つとも、大手メーカーの量販型商品なので、タピオカとは一概に比較できませんが、スーパードライはそれまで主流だったビールとは違う味が評価され、アタックは従来型洗剤の約4分の1という箱のコンパクト洗剤(粉末洗剤)でした。消費者の「生活習慣を変える」という意味で画期的だったのです。

一方、タピオカは生活習慣を変えたのでしょうか。

「タピオカブーム」が起きた8つの理由

なぜ、タピオカがブームとなったのかは、これまでも各メディアで検証されていますが、筆者なりの考えを示します。あまり絞らず、あえて8つの点を記してみました。

(1)専門店の仕掛け
(2)商品の見た目のかわいさ
(3)ドリンクとスイーツの両面
(4)インフルエンサーの影響
(5)持ち歩きでも注目度アップ
(6)メディアの報道
(7)アジアンスイーツ人気の歴史
(8)実は茶系飲料

ざっと考えて、これだけの要素を含んでいるのを興味深く思いました。

紙幅の関係で、上記を抜粋して説明します。例えば(3)については、つい最近、ある国立大学の学生から「あれはドリンクなのか、スイーツなのか」という質問を受けましたが、両面あるでしょう。1杯で両方楽しめるのは「フラペチーノ」にも似ています。

また(5)は、生活文化の視点では温故知新な話です。今から40年以上前の1976年に東京・銀座にマクドナルドが上陸。当時「ハンバーガー」の食べ歩きも象徴的な出来事でした。70年代、避暑地の軽井沢では、当時「アンノン族」(雑誌『アンアン』『ノンノ』に影響を受けた女性)と呼ばれた若い女性が、ミカドコーヒーの「モカソフト」を片手に旧軽銀座などを歩きました。「あれは何?」で注目度が上がるのは昔からあったのです。

(8)は今回、大手飲料会社の男性社員も注目していました。茶系飲料の側面がクローズアップされれば、消費者が「緑茶や紅茶などにも注目するのでは」という思いです。