どんな場合に、どんな保証をしてくれるのか
事前にしっかり確認を
いま墓石の世界は、デザインや石材の種類が実に豊富で、多種多様なニーズに対応するオーダーメード型が主流になっている。だがその一方で、墓石をめぐる消費者と業者のトラブルも多い。安易に石材店を選んでしまい、業者任せで事を進めた結果、こんなはずでは……と不満を爆発させるケースが少なくないのだ。
石材店選びのポイントとは何か。
通常、墓石の購入は、石材店の店頭に置かれたサンプルや、過去につくった墓石の写真などを参考に、その場で決めがち。しかし技術力はそれではわからない。その店が過去に建てた墓を見せてもらうのが一番で、腕に自信のある店なら、どれを見てもらっても構わないと快く聞き入れてくれるはずだ。
実際に墓をチェックする際は、まず墓が傾いていないか、基礎工事がしっかりなされているかどうかを見る。次に、石と石の継ぎ目をチェック。墓はパーツを組み合わせてつくられるものなので、石と石とに隙間が開いていたら雑な仕事という証拠。こうした不備は建墓3~5年もすれば如実に現れてくるので、建墓して数年が経過したものをリクエストして見せてもらうのだ。
石材技術に関しては、厚労省が「石工技能士」という資格を認定している。これを有している職人がいれば、一定の信頼がおけるといえる。業界には「日本石材産業協会」「全国優良石材店の会」(全優石)という2大組織があり、これらの会員になっているかどうかも信用の1つの目安となる。
ところで「激安」を謳う石材店も増えている。そもそも墓を建てるコストには、石材代と工事費がある。石材代には業界相場があり、仕入れ値はほぼ決まっているので、大幅な削減はしようがない。そこで工事費を落とすことでコストダウンを行う。例えばセメントの量を減らすなど基礎工事で手抜きをするわけだ。あまりに安すぎる場合は、注意が必要だ。
同様に「倒産しない店を選ぶ」というのも大事なポイント。墓石購入後も石材店とのつきあいは、追加の彫刻、納骨のお手伝い、石と石の継ぎ目のメンテナンスなど、さまざまなアフターケアが必要となり、長期にわたるのが一般的だ。ところが激安店の中には、経営が成り立たなくなり結局潰れてしまう例も少なくない。創業年数を聞き、10年営業を続けていれば、ひとまず信頼できる店といえる。
また、保証制度についても事前にしっかり確認したい。墓石が崩壊、欠損するなど不備が生じた場合の対応策として、自発的に保証制度を説明する店は、それだけ信用度が高いといえる。店から何の説明もない場合は、保証の有無だけではなく、どういう場合にどのような保証をしてくれるのか、具体的に突っ込んで聞いてみる。きちんとした店ならこれまでの実例を話してくれるだろう。逆に保証をしたことのない店は、そこで答えに詰まるはずだ。
要は、技術力と信用力を見抜く目が不可欠。店をまわる前には、インターネットや専門誌などで勉強し、基礎知識を得ておきたい。また日本石材産業協会が認定する「お墓ディレクター」という資格保有者が全国に約5000名いるので、建墓や石材選びなど、まずは相談してみるのも一手だ。