稼ぐことをサボらない
家庭を存続させるうえで大切な取り組みに「稼ぐこと」があります。
前項の「家事分担表」には「収入を得る」がありませんでしたが、収入がなければ家族が生活していくことはできません。
妻が私と結婚したとき、私はベンチャー企業の会社員でした。妻は、紹介予定派遣で、いま働いている会社とは別の外資系のIT企業に勤めていました。けれど、職場が合わなくて、結婚してすぐに辞めました。次の仕事が決まるまで4カ月ほどは、ヨガに通ったり、僕の料理をつくったりしながら専業主婦をしていました。
短期でしたし、夫婦二人の生活だったので、収入の面でそれほど困ることはありませんでした。
ただ、私が38歳で会社員を辞めてフリーランスで働き始め、かつ大学院に通っていた2年間は、やはり不安がありました。確実な収入は妻の月給だけという状態。私も、厳密には非常勤先の大学から給料をもらっていましたが、不安定な収入です。時間の融通は、私のほうが効いたので、料理をはじめ、家事の大半を担うようになったのもこの頃です。
結果として、妻がフルタイムの勤め人として働いていたからこそ、家庭を維持しながら、私は大学院に通い、その後、現在の大学教員の職を得ることができました。
私のような働き方では、妻が専業主婦だと不安があります。娘が生まれた現在では、なおさらです。
女性の離職理由は“子育ての大変さ”だが……
総務省の就業構造基本調査(2017年)によれば、15~64歳の女性の有業率(仕事をしている人の割合)は68.5%。約7割の女性が何らかの形で仕事をしています。そのうち、25~39歳の女性の有業率は75.7%。過去、この世代の女性は子育てなどを機に仕事を離れることが多く、前後の世代に比べて有業率が低くなる、いわゆるM字カーブの谷になる傾向がありました。しかし、2017年の調査では、育児中の女性の有業率はすべての世代で上昇しています。
2012年から17年までの5年間で、共働き世帯は約52万世帯増加し、17年には約1349万世帯にまで達しました。全世帯数比率でも、共働き世帯数はほぼ5割を維持し続けているという現状です。
一方で、前出の2018年の明治安田生活福祉研究所(現明治安田総合研究所)の調査で、子どもがいる25~44歳の既婚女性に、第1子の妊娠・出産を機に仕事をやめた理由をたずねたところ、「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」と答えた方が52.3%と最も高くなっていました。現在も、妊娠・出産が、女性が仕事を辞める理由になっているのです。