海ほたるパーキングエリア内のロイヤルマリンコート
コントラクト事業の高速道路では、2019年度にロイヤルマリンコート(千葉県・海ほたるパーキングエリア内)の改装などを行った。

それぞれの事業が担う役割を明確に

——どういう改革の進め方をしたのか、具体的に教えてください。

【菊地】グループ内の各事業のミッションと戦略を明確にしました。まずはロイヤルブランドの再構築。誇りが持てるブランドに変えていくこと。これをロイヤルホストのミッションとしました。なぜなら、ロイヤルホストの商品とサービスが改善することで、はじめて「さすがロイヤル」と言われるからです。

次の戦略が、成長エンジンの育成。これは外食の天丼てんやとコントラクト事業を担い手としました。天丼てんやは出店モデルを再構築し、また日本だけでなくアジアにも積極的にFC展開をしました。コントラクト事業では、高速道路店、空港ターミナル店に加えて、病院や老人ホームなども受託を広げました。

もう1つの戦略が収益基盤の拡大。機内食やホテル事業が主な担い手となりました。機内食は受託エアライン数が増減はあるものの順調に推移して売り上げを伸ばし、ホテルは確実に出店を続けています。

——ロイヤルブランドの再構築、具体的にはどういう取り組みをしたのですか。

【菊地】ロイヤルホストはこれまで既存店にお金をかけてこなかったので、質の高いファミリーレストランといいながらも、実態は店舗の壁紙は剝がれたまま、床は汚いままという状態でした。これでは、従業員のモチベーションも上がりません。負のスパイラルになっていました。既存店に再投資し、お客様の満足度を向上することを目指したのです。ファイナンス思考でいえば、「お金の使い方」を変えたのです。経営が苦しく、キャッシュフローが数十億円しかない状態でした。その少ない資金を新規出店にではなく、既存店に振り向け、効果を出すことにしたのです。内外装を修繕し、より効率的に調理ができる最新鋭の厨房機器も導入しました。こうした投資によって社員のモチベーションもアップ、2012年からはロイヤルグループ850店舗のうち半分以上が前年を上回るようになったのです。これが増収増益へと結び付いていくわけです。また利益が出るようになるとキャッシュフローも増えてきますから、それを既存店の再投資だけでなく、業態転換投資、新店投資、インフラ投資などにも弾力的に投入することができるようになりました。成長エンジンに位置付けていた天丼てんや、コントラクト事業やホテル事業の成果も上がり、2017年まで6年連続で増収増益が実現できたのです。

「ロイヤルグループ経営ビジョン2020」の進捗
「ロイヤルグループ経営ビジョン2020」の進捗。3~4年周期で「増収減益」「減収増益」サイクルを脱し、2012年以降「増収増益」が基調となった。