枠にはまらない、自由な管理職を目指して

「プレッシャーは確かにあります。でも、いろんな人とディスカッションして合意形成していくプロセスは、満足度が高い。若い世代に仕事の楽しさを伝えたいし、可能な限り“笑い”が起こるような職場にしたい。また、自分が仕事を何もかも引き受けるのではなく、若手社員が自律的に働けるようにしていきたいです」

中外製薬では性別、LGBT、ハンディキャップ、国籍問わず雇用を推進している。このような多様な雇用は、シニア社員でも進みそうだ。たとえば、全社員が55歳になった時点で、そこで辞めるか、通常通り60歳で定年を迎えるか、1度退職し、以降の給与は下がるが65歳まで定年延長(雇用満了時の退職金はなし)するかの「3択」をする。長く働き続けたいなら定年延長をしてもいいし、在職中から別の職業を探してセカンドキャリアを模索してもいい。積極的ではないが、申告制で「副業」も認めている。

会社任せではなく、人生の節目節目で自らが決断をする。それが良い会社員人生を全うすることにつながるのだろう。

撮影=神ノ川智早、アラタケンジ

東野 りか
フリーランスライター・エディター

ファッション系出版社、教育系出版事業会社の編集者を経て、フリーに。以降、国内外の旅、地方活性と起業などを中心に雑誌やウェブで執筆。生涯をかけて追いたいテーマは「あらゆる宗教の建築物」「エリザベス女王」。編集・ライターの傍ら、気まぐれ営業のスナックも開催し、人々の声に耳を傾けている。