考え方の癖を見つけて課題を打破した“コーチングレッスン”

磯井さんはさまざまな脳科学系の本を読み、コーチングのレッスンも受けるなかで、自分の課題と向き合った。被害者意識があるとしたら何が原因なのか。嫌な感情や怒りが噴き出るのはどんな状況にあるときなのか……。考え方の癖を見つけることで、自分を客観的に観察できるようになった。

「私はずっと日本の教育を受けてきたので、とにかく人目を気にしてしまうところがありました。人に迷惑をかけたくない、嫌われたくないという気持ちがすごく強かったと思う。まずはコーチに自分のダメな部分やできないところをさらけ出して、意見をもらいました」

スイスで一年半働いた後、日本へ帰ろうと決意。自分の「強み」は何かと考えたとき、やはり海外での就労経験を活かして日本で働くことが無理なく、キャリアアップにつながるだろう。さらにダイバーシティにも興味があり、まだ遅れている日本で何か活動できればと考えた磯井さんは、2012年に帰国。金融から一転、人材採用の現場にチャレンジした。

多国籍な環境へ転職! それがターニングポイントに

ロバート・ウォルターズ・ジャパンは、外資系・日系グロ-バル企業への転職をサポートする、スペシャリストに特化した人材紹介会社だ。磯井さんは人事スペシャリストの採用を担う人事チームに従事。6年半で昇進を重ね、現在は法務スペシャリストの採用なども管轄するアソシエート・ディレクターを務めている。マネジメントする立場になったことで、いかなる試練があったのだろうか。

「まさに多国籍な会社で40カ国ほどの人材がいるので、育った環境や文化がそれぞれ違い、日本人の感覚や常識が通用しません。例えば、部下の成長のために上司が注意するのは当たり前と思っていたけれど、褒める文化の中で育った人は注意されることで傷ついて自信を失くし、モチベーションを落としたりします」

実は管理職としてターニングポイントになったという忘れがたい出来事があった。マネジャーになって一年目、まだ手探りで試行錯誤していたころだ。