「横浜初等部」を「幼稚舎」と同列に見なすのは図々しい

この幼稚舎OBは、横浜初等部の方向性についても腹を立てている。横浜初等部の初代部長(校長)を務めた山内慶太氏(慶應大看護医療学部教授・医学部兼担教授)は、『三田評論』(2013年5月号)に寄せた「横浜初等部開校にあたって」という記事で、「慶應義塾にとっては、横浜初等部は幼稚舎と並ぶ二つ目の小学校である」と記している。

筆者の田中幾太郎氏は『プレジデントFamily2019夏号』誌の特集「わが子を慶應に入れる」において慶應義塾大学の同窓会「三田会」についての解説をしている。

「なぜ、『幼稚舎と並ぶ』という書き方をするのか。『幼稚舎に続く』ならまだしも、明らかに横浜初等部を幼稚舎と同列に見ている証拠で、図々しいというほかない。やっと2019年春に最初の卒業生を送り出したばかりの学校が、140数年の歴史を持つ幼稚舎のブランド力のおこぼれにあずかろうというのが見え見えです」(同OB)

山内氏は記事の中でこう続けている。

「戦後、大学部分が大幅に拡大し、相対的に細くなってしまった一貫教育の幹をもう一度太くするのが初等部であり、幼稚舎と並んで、一貫教育のもう一つの源流ができたことの意味は大きいと思う」

幼稚舎OB・OGたちをさらにカリカリさせるような文章だが、実は開校以降、「横浜初等部の評判はうなぎ上り」(進学塾の幼稚舎・初等部コーススタッフ)だという。

田中 幾太郎(たなか・いくたろう)
ジャーナリスト
1958年、東京都生まれ。『週刊現代』記者を経てフリー。教育、医療、企業問題を中心に執筆。著書は『慶應三田会の人脈と実力』『三菱財閥最強の秘密』(以上、宝島社新書)、『日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊/本日より時間外・退職金なし』(光文社)ほか多数。
(写真=iStock.com)
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