セクハラ会社から新入社員が消えるワケ

【近藤】女性営業の先輩後輩の関係だと、セクハラに関する相談も多いですね。

白河 桃子『ハラスメントの境界線-セクハラ・パワハラに戸惑う男たち』(中央公論新社)

【羽田】保険営業の場合、40代後半以上のベテラン女性営業だと、「しょうがないよね、ああいう世代だから」「任期が終わったらすぐ異動するから」っていう感覚なんですよね。でも20代ではそうはいかない。若手が定着しないですよね。

【佐々木】若いと得意先にも付け込まれやすいですからね。個人商店相手だとお店に行くことになるので、入社直後、まず女性上司に「密室状態で危険そうなときは一緒に行くから言って」と言われました。ああいうこともある、こういうこともあると具体的な話をしつつ、いつでも相談してと言ってくれた先輩もいました。

【羽田】私も、後輩が入ってきたら「何でも相談して」「飲みに誘われたら、私がついていってもいいよ」という話をしますね。私自身は、契約の話をする際、特に男性一人の場合は自宅には行きません。極力、職場の待合ブースや職場近くの喫茶店を指定するようにしています。

【中野】私は部下に、得意先と二人きりで食事に行かないように指導しています。誘われたら「上司も連れていきます」と言わせたり。危険なのは地方出張なんですよね。地方はセクハラ色の強い企業も多いですし、私がついていくこともできませんから。嫌だったら夜の席は「別の打ち合わせがある」と断ってもいいんです、と。その食事会は、業務とは関係ありませんから。

写真=iStock.com