「仕事ストレス」「仕事満足度」「現在の仕事が面白いという人の割合」ともに、日本は世界ワーストクラス――。とても切ない結果が出ました。国際比較のデータをもとに、それらを改善するヒントを探ります。

「いい加減な仕事」が許せない日本人

仕事のなかでストレスを感じることが「いつもある」「よくある」と答えた人の割合が、日本では49.1%と世界一です(図表1)。一つ理由として挙げられるのが、日本人の完璧主義です。とりわけ、仕事に対するプロ意識が高すぎるのだと思います。

「職人」という言葉があるように、日本人はまず自分自身がいい加減な仕事をすることを許せません。それが長時間労働につながることもあります。また、日本社会のほうもプロフェッショナルな仕事を求めます。海外の商店で、スタッフが釣銭を投げるように返してきた、といった話を聞くことがあります。しかし日本でこれは到底許されないことですし、恐らくあり得ない話でしょう。

日本人が好むプロフェッショナルな仕事ぶりは、消費者には歓迎されるし、働く側も誇りに思います。もちろん、いい加減な仕事をしたり、さぼったりするのはいけません。しかしプロ意識が行き過ぎると、働くときのストレスになってしまいます。

消費者にとって理想的だが、働く人が疲れる国

完璧主義の仕事を貴ぶ日本は、常にサービスを受ける側の人にとっては理想の国でしょうが、サービスを提供する側にとっては疲れる国です。北欧の働き方がゆったりとしてよいと見える裏には、サービスを受ける側が“要求しすぎない”社会があります。

完璧主義が日本人の生来の気質である勤勉さから来るという話もありますが、それは多分につくられたことではないかと思います。“日本人は勤勉”というイメージは今の若者たちも持っています。でも、「日本の大学生と米国の大学生、どちらの方が勤勉だと思う?」と問われて、「日本の学生」と答える人はあまりいないと思います。ですから日本人が勤勉というのは、そもそも幻想なのです。