夫の家事の“やり直し”をしてはいけない

男性が仕事のストレスを減らし、幸福度を高めるためには、人生における仕事や会社のウエートを下げていくしかありません。男性が今よりも家庭で活躍できるようにすれば、仕事と家事、育児のバランスがよくなって、仕事のストレスが軽減されるかもしれません。

男性のストレスを下げるためには、女性の協力も必要なのです。女性が男性の家庭進出を妨げていると、いつまでたっても男性のストレスは高いままです。

また、男性が家庭進出したときは、家事や育児に完璧を求めないようにすることが重要です。夫がたたんだ洗濯物がピシッとしていないからたたみ直したという話はよく聞きます。でも家事を2人でやると、分業の利益がなくなり、ある程度の非効率さは生じるものです。0.5+0.5=1ではなく、0.7+0.7=1くらいで考えるのが良いと思います。

大学も変わってきている

多少、男性の家事のやり方がプロフェショナルでなくても受け入れるおおらかさを持ってほしいです。男性が弁当のおかずを冷凍食品で揃えても、きついダメ出しはしないようにしてくださいね。「お母さんの手作り弁当」でないとダメと言ってしまうと、それが呪縛となって男性は家庭に進出できなくなってしまいます。家事や育児で求められるレベルが低くなれば、男性の家庭進出もスムーズになり、やがては働く女性も助かります。

大学でも男性の家庭進出を促す方向に動いています。たとえば、うちの大学では、研究者が家庭で活躍できるように資料を整理してくれるリサーチャーを雇うお金が支給されるようになりました。当初は女性研究者だけを対象にしていました。女性支援のために育児中にアルバイトを雇える制度だったのですが、今は男性の研究者も育児のために使える制度に変わっています。

いくら女性側だけ支援しても、男性の家庭進出を進めなければ、女性は外に出られません。それに気づいて制度が変わったのです。今は男性研究者もこの制度を使って、家事や育児の一部を担うようになっています。

これから女性の“会社進出”は続くわけで、女性の仕事ストレスが強くなったり幸福度が下がっては元も子もありません。男性も女性もワークとライフに完璧を求めすぎず、みんながゆるく働きゆるく暮らすことができる世の中になってほしいと思っています。