恋愛離れの理由3 女性が男性を選ぶ時代へ
【Aさん】また話を私の恋愛に戻すと、これまで好意を持てるような男子と出会わなかったからか、新しく会った男の子全員に対してどうしても男友達としての接し方をしてしまい、事前に恋愛の可能性の芽を自分で摘んでしまっている面もあるかもしれません。
例えば喋り方でいうと「~しろよ」など汚い言葉を使ってしまう。一度、このように友達として接してしまうと、そこから恋人に発展するのは難しいと思います。
【原田】うーん、なかなかの「こじらせ女子」ですね(笑)。が、君の悩みは、少し令和の時代の男女関係を表しているように感じられて面白い。
仮に、昭和・平成時代の象徴的な女子の悩みの例が、「メークと身だしなみを頑張ってしているのに、男子が口説いてくれない」というものだったとすると、令和時代の象徴的な女子の悩みは、例えば君のように、「メークをするに値する男子が周りにいないから、メークも綺麗な身だしなみもする気が起きない」というものに変わってきているかもしれないね。
つまり、男性に「選ばれる」という受け身のスタンスが多かった昭和・平成の時代の女性像から、男性を「選ぶ」という能動的なスタンスの女性像に大きく変わっていくのが令和時代だと言えるかもしれない。
昭和・平成の途中までは、少なくとも大都市部では専業主婦になる女性が大変多かったから、どうしても「選ばれる」という姿勢をとる女性も多くいた。だけど、今は子供がいる女性でも7割が働くようになっているし、令和時代は恐らくこの割合がさらに増える。つまり、子供がいようがいまいが女性も生涯働き稼ぐ時代になりつつあるから、極論すると経済的に男性に依存する必要がない。必ずしも男性に「選ばれる」必要はなく、自分たちも「選ぶ」側でい続けられるようになった、というのが社会背景としてあるんだろうね。
でも、男子も女子も両方とも選ぶ側に回ったというのは、選んで恋愛が成就した人は幸福度がかつてより高いかもしれないけれど、それだけ恋愛における妥協も減っているだろうから、恋愛が成就しない確率が大幅に上がっているのは当然のことだよね。
【Dくん】ツイッターで自分のファッションの写真を上げている女性に対して、「男はこんな服好きじゃない」などのリプライをしている男性に対して、「お前のために服を着ているわけじゃない」と一喝している女性をよく見かけます。このように「自分は自分だ」と自由に表現し、自分のことを優先する強い女性が増えており、これも恋愛離れの一因になっているのだと思います。
恋愛離れの理由4 「男女の友情」が成り立つ世代
【Aさん】出会った男子全員に対して男友達のように接してしまうと話しましたが、彼女がいる男性と2人で食事に行くことも多いです。ただし、もちろん、相手の彼女に一緒に行くことを断った上でのことが多いですが。
【原田】今の若者たちを見ていると、完全に「男女の友情」が成り立つようになっている。僕の若かった時は、「男女の友情」なんて絶対に信じないという人も多かったし、今は異性の友達であっても、ほんの数%でも恋愛に発展する可能性がある相手でないと2人で出かけない、なんて人もたくさんいたと思います。だから、2人で出かけるってこと自体が、恋愛にとっては大きな一歩だったわけです。
でも、今は恋愛感情を抱いていてもいなくても2人で出かけるので、恋愛経験の少ない人にとっては、恋愛か友情かの見分けをつけるのが本当に難しくなっているかもしれないね。
数年前に、自民党の今井絵理子参院議員が、当時、妻子のあった橋本健元市議と「略奪不倫」をしていると週刊誌に報じられた時に、一緒にホテルに入ったことは認めたものの、「一線を越えていない」という名言を残したことがありました。それに対し、マスコミも多くの中高年も「そんなはずあるかい! なんちゅー言い訳じゃ!」と総ツッコミを入れたわけですが、当時の学生たちから「えっ? 一緒にホテルに行ったからって、一線を越えたとは限らなくないですか?」という意見がかなり多く出てきたのに驚いたことがあります。
今井さんの白黒の真偽はさておき、若者たちの感覚では本当に「男女の友情」が成り立つと考えるようになっている人は増えているよね。
また、昔は異性と接するのが苦手な人が、恋人ができないケースが多かったけど、今は必ずしもそうではなくなってきている。異性と接するのが得意だし、事実、日々たくさん異性と接しているのに、なかなか恋人ができない、という人も増えている。
男女の友情が成り立ち過ぎると、恋愛への一歩が分からなくなる、ということなんだろうか。
【Aさん】男子と2人で出かけて、遊んでいる最中に「俺、あの子のこと好きなんだよね」って恋愛相談を受けることもあります。ちなみに、そういう時の食事は完全に割り勘です。
【原田】恋愛相談をするために呼び出されて会うわけじゃなく、ただ男女が友達として遊んでいるときにたまたま恋愛相談される、というシーンが今っぽい。
しかし、男女の友情が成り立ち過ぎると、食事の支払いも割り勘が多くなるから、奢ってもらうことも多かった昔と比べると女性にとっては損なケースが増えているかもしれないね。