恋愛離れの理由2 「ストーリー」投稿で恋心が冷める
【原田】Aさんはどんな男性が好きなの? 早稲田って学生数が多いから、その中でいいと思う男性に一年間出会わなかったのだとしたら、君の男性の理想像が超高いのかな?
【Aさん】私の理想はそれほど高くないと思います。私の理想の人はユーモアがある人で、あまり顔などの見た目は気にしませんから。
ただ一点だけ、私はお酒を過度に飲んで自分で自分をコントロールできなくなる人を彼氏にしたくないと思っています。私が今まで会ってきた早稲田の男子は、限界まで飲んでつぶれる人がかなり多くいて、その姿を見るとそれまで「この人、いいかも」と思っていたとしても「やっぱり無理だわ」とどうしても思ってしまうんです。
早稲田大学は他の大学よりも飲み会が多く、男子がベロベロに酔って路上で寝る光景を見て幻滅することがよくあるんです。
【原田】今の若者は全体的に昔の若者よりお酒を飲まなくなってきているのは間違いない。早稲田の学生だって昔と比べたら全体傾向として飲まなくなってきている。僕の時代の、特に早稲田生なんて、皆で泥酔して男子の多くが全裸になっていた飲み会が普通だったイメージがあるからね(笑)。
でも、若者がお酒離れする中でも、まだお酒を激しく飲むカルチャーがかろうじて一部に残っている早稲田大学に、そんな志向の君が入ったことは不幸だったかもしれないね(笑)。
【Aさん】そ、そうですね……。また、直接飲み会でその男子がつぶれている姿を目撃しなくても、その人の男友達がインスタグラムのストーリーでその人がベロベロになっている姿を載せているのを見て「この人は違うな」と思ってしまうことも多いんです。
【原田】第三者のストーリー投稿による異性への幻滅問題は結構深刻なんだね……。気張った「映え」ではなく、リラックスした「何げない日常」を載せられる場として「ストーリー」は人気になってきたわけだけど、「良い日常」だけでなく「悪い日常」まで第三者に目撃させてしてしまう場になってしまっているんだね。
対面で異性に対して何か印象の悪いことをしでかしたわけじゃないのに、同性の友達のストーリーに自分の印象の悪い写真や動画を載せられてしまい、いつの間にか自分の評価が異性の間で下がってしまう……。こわっ。
【Aさん】本当にそうだと思います。ストーリーが普及したことにより、本来私が見ることのない、男子だけで集まってえげつない量を飲んで、えげつない会話をしている様子を映像として見せられてしまうようになりました。宴会場にいる時は、ある程度私のテンションも高い状態で酔いつぶれた男子を見ていますが、家に帰って他人のストーリーを見ている時はさすがに私のテンションもそれ程高くないので、酔いつぶれた男子に対して、より「無理!」という感情が強くなってしまうんです。
【原田】スシローのバイトの不適切動画が拡散されたのもインスタのストーリー発だったね。先程言ったように、ストーリーは基本的には「何げない日常」を投稿する場ではあるのだけど、ストーリーは24時間で消えるから多少拡散されにくいという安心感があるのか、「ネタ」や「過激なモノ」を投稿する場にもなってきているね。
きっとスシローのケースもネタのつもりであんな動画を載せてしまったと思うんだけど。一般の学生の間でも悪気なく、何げない「ネタ」として載せた友達の動画が、異性から幻滅ポイントとして加算されてしまうケースが増えてきているんだね。
【Dくん】「ネタ」や「過激なモノ」でなくても、ストーリーへの「何気ない日常」の投稿も若者の恋愛離れに影響を与えてしまっていると思います。僕も過去の実体験として、好意を寄せている人のストーリーを何度もチェックしたことがあります。僕以外でも好意を抱いている人のストーリーを日々観察し、相手のライフスタイルを中心としたプライベートをチェックしている友人はたくさんいます。そうすることで、全てではないですが、気になっている相手の生活がほぼ丸見えになり、どんな日常を送っているのか、どんな性格なのかがはっきり分かった気になる。その段階で相手を恋愛対象として見れなくなったり、恋愛対象としてみていた人が友達止まりに思えてきてしまったりすることがよくあります。
【原田】SNSは今の若者の間で「耳年増」ではなく「目年増」を増やしてしまっているかもしれないね。